スイスの愉しみ、ニュースと生活密着情報
sitemap.jpg スイスニュース2024/25

スイス最新の村
Graubünden州の村Cavaioneは150年前までどの国にも属していなかった。Puschlavの谷のBrusioから登ったところにある村の住民はかつては状況によってオーストリア人だったりイタリア人だったり、時々はスイス人だったりした。スイス連邦に加盟した最後の村で今週末、150年の記念行事が行われる。元来は村はイタリアのTiranoに属する集落だったが、標高700mの場所は誰のものでもなかった。子供のころからこれに興味を持っていたGraubündenの歴史研究家Sacha Zalaは、国家の管理が届かなかった典型的な例で、役所の整備が進んだ19世紀になって初めてスイスに帰属することが決まったと話す。Brusio郡がCavaioneを併合するために連邦議会は特別予算を承認しなければならなかった。150年前には約100人が定住していた村は今では、多くの家は空で、常住者は8人だけとなっている。その一人Franco Balsariniは三代前からの村民で、生活の不自由さはあるが、準備を良くすればここでもうまく暮らせると話す。ほぼ人がいなくなった村だが、その文化を保存するため財団が組織されている。独特な棚状の地形と急こう配に延びる16㎞にわたる石垣の間でどうやって人々が暮らしていけたのかと財団の総裁Luca Plozzaは話す。これは捨てられた集落の生き延びの歴史だ。2025-07-12
Cavaione - Brusio - Tirano
真夏にキャンプ場閉鎖
Wallis州の谷Val d'Hérensの最南端にある村ArollaはEvolène郡に属しているが、村長のVirginie Gaspozは情報階級会社Keystone-SDAに対して雑誌Le Nouvellisteが報道したスイスで最も標高の高いキャンプ場の閉鎖の情報を認めた。2024年に起きたBorgne川の洪水の後、河岸の灌木が弱っていることが確認され、危険度が高くなったことによる。多くの休暇施設が対象になり、危険区域が広がっており、その対策が話し合われてきた。2018年の大雨の際にも川幅が広がり、キャンプ場への道路が土砂で塞がれることがあった。村では今年もキャンプ場を開けることを願っていたが、州の決定は別のものとなった。山の麓で、川岸にあるキャンプ場の危険状況を州の建設委員会は厳しく評価した。州は6月12日に即時閉鎖を通達し、7月13日に実施されることになった。標高1950mのキャンプ場は年間の延べ宿泊数は12000に上っていた。運営者にとっては顔面パンチであり、夏の盛りにFacebookで閉鎖を発表しなければならなくなった。Evolène郡は移転計画を検討しており、別の場所で運営を続ける方法を探っている。2025-07-12
Val d'Hérens - camping Arolla - Virginie Gaspoz
スイス人の希望寿命
コンサルタント会社Deloitteは定期的に医療保険についての世論調査を行っているが、毎年変わる質問は今年は、どれほど長生きしたいか?だった。それに対する答えに調査責任者のMarcel Thomは驚いた。「平均93才という結果は予想できなかった」。連邦統計局の発表している平均余命は84才だ。長生きは今、流行になっているが、これは医療保険専門家を驚かせることではない。健康で長生きに専門化した病院がスイスでも至る所にできている。USAなどでは既に長いことこの傾向になっており、この分野に多くの投資が行われている。 寒冷療法、温暖療法、酸素療法などの寿命を延ばすとされる療法が提供されており、そのために出費する用意がある人も増えている。Deloitteの調査では20%の人が年間150から300フラン、10%が500フランまでの出費を受け入れるとしており、500フラン以上の出費の用意があるとする人も10%いるが、60%は150フランまでと答えている。この傾向はこれからも強まると考えられ、調査回答者の半分は希望寿命を達成できると考えている。この傾向が強まることで、医療保険に対するこれ等の療法のコストをカバーするための圧力は強まっている。保険料が下がることは当然ないが、調査結果は毎年秋に起きる保険内容の変更を検討する人が増えており、基礎保険を他の会社に代えることを考えている。2025年初に保険会社を変えた人は12%で、3年連続で増えている。理由は保険料の引き上げが主な理由とされている。Deloitteは、収入の少ない女性が保険会社を代えることが少ないことに注目して、変更の経済的効果が最も高いと見られる層が変更を行わないことは悲劇的なことだと表現している。Ansgar Johnはその理由を、金融的な知識の欠如だと見ており、おそらく過去に悪い助言を受けたことがトラウマになり、医療保険には手を付けないことにしている人が多いと考えられるとしている。2025-07-12
Deloitte - Marcel Thom - Ansgar John
ロボットが作る靴
Roger Federerが共同創業者であることでも知られるスポーツ靴メーカーOnが大部分がロボットによってつくられる靴を発表した。靴底以外のほぼすべてをABB社製のロボットが自動生産する。創業者のひとりCaspar Coppettiは、スポーツ靴の生産にはこれまで300人余りの人手が必要だったが、これからは数台のロボットで作ることが出来ると説明する。テクノロジー生産マネージメント担当のMarie Georgarakisは、直接に靴型に形成するため、布を作り、細断し、縫い合わせる作業が要らなくなると話す。ただし、靴全体がチューリヒで完成するわけではなく、靴底などはヴェトナムで作られる。この380フランの靴は丈夫な靴下を思わせる外観で、足を入れるのは簡単ではない。大衆的な製品ではなく、スポーツ選手を対象にしたものだとされている。今のところ不良品は10から20%の割合で出ているが、新開発製品では通常の数字だとされている。Adidasもかつて同様の試みを行ったことがあるが、中止された。 Onがスイスを生産拠点にすることが出来るかどうかについて専門大学ZHAWの工業生産マネージメント教員Matthias Ehratは、これは恐らくPRギャグだが、地産地消の条件は満たすと話している。多くの技術的難関を超え、多くが自動化され、供給網問題も解決されるが、難しいのは生産数を十分に増やすことが出来るかどうかだ。プロジェクトはまだよちよち歩きの状態だが、会社は、大量生産の基礎は築かれた、これからはスイスだけではなく、USAなどでの生産も考えられるとしている。2025-07-06
On - ABB - Matthias Ehrat
価格上昇率プラス
5月にマイナス0.1%に下がった物価上昇率は6月には0.1%のプラスに戻った。国内産品は0.7%のプラス、外国産品はマイナス1.9%だった。生鮮食料品と季節商品、エネルギー、燃料を除いた中核商品の価格は前年比0.6%で、前月の0.5%から上昇した。消費者物価指数LIKは5月から0.2上がって、107.8となった。上昇の原因はホテルと準ホテルの宿泊料と外国パック旅行の価格が上がったことが主なものだと連邦統計局BFSでは分析している。住居賃貸料、個人交通機関、新鮮野菜も値上がりしたが、航空運賃、ガソリンや核果実は値下がりした。2025-07-03
BFS - LIK -
女子サッカーヨーロッパ選手権
女子サッカーヨーロッパ選手権が昨日、バーゼルで開幕した。初日の試合ではホスト国スイスがノルウェーに1対2で敗れ、フィンランドがランキング上位のアイスランドに1対0で勝った。13日の日曜日まで予選ラウンドが行われ、決勝は27日が予定されている。試合はBaselの他、Thun、Sion、Zürich、Bern、St.Gallen、Luzern、Genèveの各会場で行われる。4のグループにそれぞれ4チームが分かれて予選ラウンドが行われる。2025-07-03
Uefa.com - SRF - CFF連邦鉄道
出生減少
出生数減少、婚姻数減少、これがBFS連邦統計局が最近の調査結果に出した結論だ。一人の女性が一生に産む子供の数は1.3となり、10年前の1.5から一貫して減り続けている。昨年の出生数は78300で、前年から1800減った。減り方は3年前から加速しているが、昨年はやや落ち着いた。しかし、僅かながら増えた死亡数との関連による出生収支は6300で、100年来の最低となった。人口の多い年齢層の出産期は10年前に終わっており、今後は減少傾向が続くと見られる。女性の平均初産年齢は31.3才で、第三子まで出産する例は3.6%、第二子まで出産する例は2.8%減った。第一子の出産は1.5%の減少で、減り方は比較的、小さい。これは、所帯数の減少ではなく、所帯の人数の減少としてはっきり表れる。2024年の婚姻数は2023年に比べて36800、または2.6%減った。これは2020、2021年のパンデミックの年を除くと、1981年以来の少なさだ。一方、離婚数は3.6%増えたが、離婚までの平均結婚期間は15.8年となり、最近の数年に比べてやや長くなった。婚姻数の減少は全国で認められるが、フランス語地域で他よりわずかに大きい。Glarus、St. Gallen、Aargauの各州では2007年に比べて婚姻数が増えたが、これらの地域では人口が増えている。Graubündenの山間部では出産数がへっきりと減っているが、都市でもその傾向が強く、Zürichでは10年前に比べて14%の減少となった。古典的な結婚は今では多様な人間関係のうちの一つでしかなく、Universität Zürichチューリヒ大学の社会学教授Katja Rostは結婚するかどうかが社会構造に与える影響は小さくなったと説明する。それがこの富裕国の教育現場に直接的に反映される。子供をつくるかどうかには社会の考え方の切り替えが必要だ、子供は今、親のお荷物だと捉えられていると話す。2025-06-20
BFS - Graubünden - Katja Rost
コロナ新変異種
コロナウイルスの新変異種が世界中で広がっているが、スイスでもこの夏に感染が広がることが懸念されている。Nimbusと呼ばれる変異種はこれまでの変異種に比べてより危険だとは考えられない。スイスでは組織的な検査が既に長く行われていないが、連邦の委託で専門家たちがウイルスの活動を精密に追っている。下水の検査はかなり正確なウイルス濃度を提供する。ETH連邦工科大学チューリヒの生物情報学教授Niko Beerenwinkelは、下水検査は迅速に現状を把握できるが、新種のウイルスが出てきた時には特定するまでの作業が必要だと説明し、最近起こっている現象はまさにこれだとい言う。Nimbusは5月初めに初めて発見されたが、それ以後、6の下水処理場で分析が続けられているが、Nimbusは非常な勢いで広がっており、この2,3か月で支配的な存在になるとBeerenwinkelは予測する。WHOもNimbusを最も活発な6のウイルスの一つに挙げている。細菌学者のIsabella EckerleはNimbusがこれまでの変異種に比べて大きく異なった性質を持っているとは考えにくいと話す。しかし、最近の6か月、ウイルス感染が比較的に少なかったために、この夏に一つの波が来ることは十分に考えられる。2025-06-20
Nimbus - Niko Beerenwinkel - Isabella Eckerle
戻って来た0金利
SNBスイス国立銀行は指標利率を0.25%引き下げ、0%とすると発表した。総裁のMartin Schlegelは、スイスの通貨の状況に合わせて、物価の安定に資するものだと説明した。マイナス金利も一つの選択肢だったが、副作用の可能性があることが分かっているそのような重大な一歩を踏み出すには重要な理由な必要だとして、年金金庫、銀行口座、不動産市場への影響を挙げた。市中銀行の収益性にも否定的な影響が出るが、それを守るのは第一義的には国立銀行の義務ではない、しかし、危機に際して守らなければならない一線だと説明した。Trumpの関税措置によりUSAとEUへの輸出が大幅に落ち込んだことを受けての景気の現状については、判断は非常に難しいとしながらも、見込まれる今年の経済成長率1から1.5%は、これまでの数年に比べて低いが、経済後退にはならないとの見方を表現した。しかし、世界で起きている紛争が今年後半の景気の負担になることは確かだと語った。2025-06-20
SNB - Martin Schlegel -
物価低下
BFS連邦統計局の発表によると5月のインフレーション率は前年同月比‐0.1%となり、コロナ危機以来、4年ぶりのデフレーションとなった。物やサービスの価格の低下の最大で唯一の原因は通貨フランの為替上昇だ。情報配給会社AWPが専門家に行ったインタビューでは、スイスの物価上昇率は昨年9月以来1%以下で、既に織り込み済みだという意見が支配的だった。デフレーションは自動的に購買力の上昇となり、基本的には肯定的だが、デフレーションが進むと見て買い控えをする傾向が増えるため、需要が減り、景気後退への危険が増えるため経済にとってはマイナスだ。それにつれて雇用が減ることも懸念され、賃金が低下する危険もある。全国消費者物価指数LIKは前月比0.1%上昇して107.6となったが、その最大の原因は住宅賃貸料の上昇で、果実野菜や桃、サクランボなどの核果も価格が上昇した。一方、航空運賃と燃料油の価格は低下した。価格低下は輸入品に限られており、デフレーションの悪影響は今のところ懸念する段階ではないと連邦経済局や連邦工科大学チューリヒの景気研究所KOFでは見ている。2008年以来、住居賃料は参照利率と連動することになっており、四半期ごとにBWO連邦住居関係局から発表されているが、これは不動産ローンの利率に反映される。この利率の動きが非常に遅いことで、このシステムも停滞が続いている。2025-06-03
BFS - AWP - KOF
振興財団
振興財団が配当する資金がこれまで発表されている試算よりもかなり多いと考えられている。これまで発表されている統計は2002年のものが最新で、振興財団の上部団体Swiss Foundationsの運営者Katja Schönenbergerは当時の金額20億フランが連邦財団監視機関Eidgenössische Stiftungsaufsichtの発表によると現在では60億フラン前後になっていると見ている。金額が増えている原因は財団の数が増えており、各財団の扱う金額も増えていることだ。財団監視機関は各財団の活動を監視しており、2年連続で配当を行っていない財団に解散の手続きを始めるように促すことになっている。医療保険が義務になる以前は健康関係の活動を財団が行うことが多かったが、今では財団の活動は科学研究、大学で設立されるスタートアップ企業の支援が多くなっている。文化、出版多様化、社会の分野で多くのプロジェクトが行われている。その中には女性の救護施設や老人の孤独対策計画などが含まれる。ソーシャルネットが密になっていく社会で振興財団も多様化している。最近、山が崩れて全村が埋められたBlattenへの救援についてはまだ多くの動きが明らかになっていないが、そのような場合にこそ柔軟に動くことが出来る財団が活動すべきだとSchönenbergerは話す。住民への直接的な援助だけではなく、専門家を抱える援助団体への経済的またはインフラストラクチャーの提供による援助も重要になる。USAでは巨大な資金を持つ財団が多く、大きな影響力を持つが、スイスでは運用金額の最高額が5から6千万フランに制限されている。そのため、財団は独自の活動よりも行政を援助する形をとることが多い。財団は市場や政治的決断からは独立しており、資金を持ち、財団の理念以外には行動を制限するものが無いため、リスクをとったり、実験的な行動をすることが容易だ。しかし、社会の趨勢に財団がすり寄ることが多くなっていることも事実だ。2025-06-03
Swiss Foundations - Eidgenössische Stiftungsaufsicht - Blatten財団
Geneve空港減便
航空管制機関SykguideはGeneve空港の着便を20%減らすと発表した。原因は潜在的な技術的問題だとされている。この問題の解決が見つかるまで、欠航や運行の乱れが続くと見られるが、何時までその状況が続くかは分からないとSkyguideの情報係は話した。どの便を欠航させるかは航空会社の判断に任される。この欠陥はGeneveで特に強く認められ、Skyguideではこの数日中にシステムのアップデートをGeneveで行い、その結果によって、Zürich空港でも行うと発表している。2025-06-02
Sykguide - Genève Aéroport - Flughafen Zürich
侵略蟻
地中海地方からやって来た侵略的な蟻TapinomaがZürich州各地で巣を作り、問題となっている。スイスの在来の蟻のコロニーは千単位の個体でなっているが、Tapinomaでは100万単位の大きさがある。2018年に初めて確認されたが、これまで拡散を続けており、これまで15のコロニーが確認されている。そのうち防除できたのは4に留まっている。この蟻は人間にとって直接的な危険は無いが、配電箱の中で這いまわり、停電を引き起こしたり、ドイツで起きたように敷地全体に巣を広げたために遊園地が立ち入り禁止になったという例もある。スイスでは連邦鉄道SBBの10億ユーロのトンネル拡張工事予定地がこの蟻に占領され、対策が検討されている。Limmat河岸のOetwilでは激しい勢いで増え続けており、5ヘクタールのジャガイモ畑が占領された。建物の敷地も例外ではなく、地面が見えないほどに蟻が増えたアパートもあり、所有者は自治体と州の協力を得て殺虫剤で近日中に駆除を試みるとしている。駆除は土地所有者の承諾が必要で、簡単ではない。VolketswilとSchwerzenbachではサッカー場35面の大きさの最大のコロニーが確認されており、このような大規模な事例の場合は自治体と州が話し合って専門家による連携の取れた解決策を見つけなくてはならないと州の建設部長Katharina Weberは話した。これによって個別の所有者による対策よりも殺虫剤の使用量を減らすことが出来ると説明された。農地では畑に直接、殺虫剤を撒くことは出来ず、その周辺に撒かれることになる。2025-06-02
Tapinoma - Oetwil - Volketswil
電気貨物車にも課税
重量輸送車両にかけられる税LSVAはこれまで電気貨物自動車には免除されていたが、担当連邦大臣Albert Röstiは、2029年にはこの特別措置を終了する予定だと発表した。しかし、鉄道による貨物輸送と貨物自動車の電気化を推進する方針は変わらないとされた。現在、貨物自動車の90%には軽減税率が適用されており、無税の電気貨物車と燃料電池車は増え続けている。そのためLSVAの税収は減り、鉄道輸送への振り替えへの機運も弱まっている。2029年には電気貨物自動車にも課税されるが、2035年までは優遇税率が適用されるとされている。この計画は当初の予定よりも2年早く実施されることになり、現在、最も低い税率が適用されている燃焼エンジンによる貨物自動車は1クラス、引き上げられる。2024年のLSVAによる税収は19億フランで3分の2は連邦、3分の1は各州に割り振られる。連邦税収の大部分は鉄道網整備のための基金に入れられる。重量交通法はEUとの陸上交通協約に準拠することになっているが、その見直しも協約で規定されており、今回の発表はそれに従うものだ。2025-05-29
LSVA - Albert Rösti - 電気貨物車
最悪、山崩れ
5月18日に確認されたKleines Nesthornの岩盤の大規模な亀裂のために住民300人ほどが避難を余儀なくされたWallis/Valais州のLötschentalのBlattenに昨日午後、恐れられていた200万立方メートルと見られる山崩れが起き、下の氷河Birchgletscherを巻き込みながら村の大部分を土砂で埋め尽くした。村民一人が行方不明になっていると伝えられている。土砂がLonza川とその分流を埋めたため、水が堰き止められ、近隣の村にまたがる水害が起きている。溜まった水が他の分流に流れ込み、地崩れを引き起こし、被害が拡大する恐れも出ている。WilerとKippelでは水害を受ける恐れのある家屋からの予防的避難を命じ、避難先の住居を指定した。危険区域はLonzaの両岸の1.5㎞近くに及んでおり、同州の州代議員Beat Riederは、この地方は自然災害には慣れているが、これほどの規模の災害は経験したことがなく、これまでの経験に基づく対策は忘れて、対応する必要があると話した。気象情報機関Meteoschweizは自然災害監視のための2のプログラムをスタートさせた。2025-05-29
Kleines Nesthorn - Lonza - Meteoschweiz
校内暴力事件
日本でも問題となり、ドイツでも複数の深刻な事例が起きている未成年者の傷害事件だが、スイスも例外ではなくなりそうだ。Lausanne郊外の上級学校で女子生徒のグループが他のグループの少女たちをスキーストックやアイスホッケーのストックで襲撃した。その場面を男子生徒がスマートフォーンでヴィデオ撮影しており、それがメディアに見られることになった。目撃者の通報に迅速に現場に着いた警察は詳細についてはコメントしないとしており、告訴はしないと見られるが、女子生徒一人が負傷して病院に運ばれた。関係者の保護のために警察は学校の名前を公表しない方針でだが、このような警察の出動が必要な規模の暴行事件は珍しいとしている。生徒たちには説明会が行われ、当事者の親権者とは話し合いがもたれた。2025-05-23
- -
中央駅通り抜け
今日からチューリヒの中央駅を自転車で通り抜けることが出来るようになった。4千万フランの工事費がかかった地下道の改装工事で440mの自転車道路が実現した。KasernenstrasseからSihlquaiへ市の第4と第3地区を直接結ぶ地下道の中央に1240台の駐輪場も整備された。この地下道は都市高速道路の一部として計画されたが、その目的は実現することはなかった。14年前に自転車をめぐる団体Pro Veloが自転車道としての利用を提案して今、やっと実現したことについてPro Veloチューリヒの運営者Yvonne Ehrensbergerは、これが一里塚になると喜ぶ。チューリヒ市地下建設部長のSimone Branderは多額の工事費はその値があると話す。5年前に住民投票で承認された130㎞の自転車道の整備を2030年までに完了することを計画している、そのうち50㎞は自転車優先道となるとされる。目標達成までの道のりはまだ長いとされており、特に自転車優先道区間はまだ4㎞が整備されただけだ。2025-05-23
SRF公共放送 - チューリヒ市 - Pro Velo
有機建設資材
茸などの菌類の糸状の細胞ハイフンmyceliumは有機的に分解可能で、成形可能で遮断性が高く丈夫で環境への影響がほぼ無いという性質を持つ。連邦工科大学ロザンヌ校EPFLのチームはこの有機物質の応用可能性を研究している。私たちは植物と菌からできる再生可能な材料を研究していると研究室助教のTiffany Abitbolは西スイスの放送局RTSに説明する。この材料から実際に使うことが出来る何かができるかを探求していると続ける。ハイフン煉瓦を作るのは比較的簡単で、ハイフン、藁、近くの農家から出される有機廃棄物とコーヒーだけが必要だとFPFLの化学博士Chiara Morettiは話し、ハイフンは生きているのでそこに水を加え、藁は細かく切断して他の材料と混ぜて菌類が生息できる基体を作ると説明する。ハイフンは世界中でデザイナー、建築家の興味を引いているが、これまでは大規模な応用はされていない。しかし、オランダのPascal LeboucqのGrowing Pavilionのような外壁がハイフン煉瓦でできた建物、または英国の、今開催中のChelsea Flower ShowのデザイナーSebastian Coxによるパビリオンのような実験的な試みがなされている。スイスではLausanneの建築家Sébastien Tripodは彼の職業は危機的な現状に合わせる必要があると考えている。建築業界は世界の温室効果ガスの3分の1に責任がある、これは莫大だと彼は説明する。彼は温室効果ガスを削減するために茸を建設材料として使う実験を行っている。彼のプロトタイプはLausanneのMusée de la mainで展示されている。建築科学生のCharlotte Leurentは、私たちはハイフンを発見して、研究は非常に進んでいると話す。ハイフンは更に、宇宙でも活用できると考えられ、NASAは月の、更には火星の基地の建設に使うことを検討しており、これまで数百万ドルを菌類の栽培に投資している。ハイフン建設資材は軽く、運搬が簡単で、有機廃棄物により成長し、鉄骨とセメントの建設物と同じ程度の性質を持つため宇宙での活用は容易に想像できるとMorettiは話す。2025-05-21
Tiffany Abitbol - ハイフン - Growing Pavilion
農産品関税城塞
木の実の収穫期に入り、外国産品が高くなる。スイスは国内農業製品を関税で保護しており、さらに低関税または無関税で輸入できる枠が決められている。政治も大きくこれを支持している。2023年の連邦議会選挙で選ばれた議員のうち50人は自らが農家、またはその関係者だ。連邦大臣も7人のうち4人がその陣営に入っている。USAと永続的な通商関係を築くためにリベラル派は変化を求めている。青年自民党は関税の段階的な引き下げを求めており、代表のJonas Lüthyは現在の関税制度は時代遅れで、経済に害を与えると主張する。シンクタンクAvenir Suisseも、意義を失った突出した関税率は廃止すべきで、使われなくなった低関税枠も削除すべきだと主張している。スイスは関税城壁で守られており、WTOによると農業関係の関税は2023年度で24.8%で、EUの8.4%とUSAの4%と比較すると異常といえるほど高い。2025-05-20
Jonas Lüthy - WTO - Avenir Suisse
山崩れ、避難
Wallis/Valais州のLötschentalのBlatten近くで大規模な山崩れの兆候があり、昨夜は住民50人に、今朝になって全住民に避難命令が出された。現場では小さな崖崩れが続いており、岩塊は17m動き、割れ目が大きくなっていると16時に発表された。対策チームのMatthias Ebenerは、崖が一度に崩れるのではなく、小さな岩塊ごとに崩れることを願っていると話した。最終的な山崩れは遅くとも火曜日には起きると予想されている。2025-05-19
Lötschental - Blatten - Matthias Ebener
亡命者送還に反発
今月、発足したドイツの新内閣が国境の検問を強化し、亡命を求めてドイツに入ろうとする者も入国を拒否する方針を発表したことに対しスイスの法務担当連邦大臣Beat Jansは報復措置を執ることもあり得ると抗議を表明した。今のところ、不法な入国希望者の送り返しは起きておらず、スイス国境での警戒強化の動きもないが、ドイツ内務大臣Alexander Dobrindtが国際協定をもう守らないだろうと発言したことへの反発は強い。Jansは、ドイツが亡命希望者をスイスに送り返すことがあれば、強く対応する、我々の閂は考えられているよりも大きいと語ったが、具体的な方策については発言しなかった。Jansは今月中にもドイツを訪れ、Dobrindtと直接話し合いを持ちたいとしており、移民問題は国同士で押し付け合いをするのではなく、ヨーロッパ全体で解決する方法を見出すべきだと主張する構えだ。ドイツ政府は、亡命希望者を送り返すことはリスポン条約の規定により不法ではないという立場で、隣国は送還が禁止されている亡命希望者にとって危険な国ではないと主張する。しかし、スイス政府は亡命希望者の送還はジュネーヴ条約に違反し、スイスがEUと結んだ送還協約にも反するとしている。1961年の合意ではドイツとスイスの当局は相手国内でも検問できるとされているが、スイスがこの合意を対抗手段として発動するかどうかは分からない。2025-05-17
Beat Jans - ジュネーヴ条約 - リスポン条約
住民投票、目白押し
地方公共団体で住民投票にかけられる案件が目白押しとなっている。Weinfeldenでは市議会が可決した墓地のムスリム区画の整備に住民から異議を唱える署名が1000近く集められ、州民投票にかけられることになった。Zürich州では法人の利益税の利下げが投票にかけられる、法人の利益にかけられる税率は現在、2019年に決まった7%だが、これを更に6%に下げようという案件だ。Zürich州は法人にかけられる総合の税率でBern州に続き2番目に高い州だ。Solothurne州では犬税の新設が投票にかけられる。現在、各市町村が犬税を徴収しているが、州は獣医学のコストをカバーするために、犬1匹にあたり35フランの税を徴収する考えだ。Aargau州は資産税の税率引き下げと子供控除の引き上げを計画している、これによる税収減は600万フラン程度と計算されているが、不動産税の引き上げでこれを埋める考えだ。Uri州では3件が取り上げられているが、最大の争点は社会援助の不正受給を防ぐための捜査官の新設だ。Nidwalden州では190憶フランの州道拡幅のための予算が投票にかけられる。州政府は1㎞の区間の自転車道を含めた整備が必要だとしている。法人税が安いため外国企業を始めとして多くの企業が進出するために、住宅価格の高騰が問題となっているZug州では区画整理のために価格が上昇した不動産の所有者に価格の20%または最高150万フランの税控除を行うという案が投票にかけられる。Luzerner州では3の州立病院の義務を定める法案が議案だ。現在でもこれらの義務は実現されているが、法として明記しようという考えだで、勿論、反対の声は大きい。Basel市州ではOECDの法人最低課税の負担を軽減するために2の基金を創設する案に住民の判断が求められる。これまでよりも2%上がる利益税率を企業に還元しようという目論見だ。2025-05-16
Weinfelden - Solothurn - Nidwalden
EUとの電力合意
EUとの電力合意が発効し、一般消費者と小規模業者は50メガワット時までを自由市場から調達できようになった。基礎供給として一定料金一定期間で電力を特定の電力会社から買うこともこれまで通り出来て、消費者はどちらかを選ぶことが出来る。いずれの場合も随時、乗り換えることが可能だ。連邦政府は自由市場と公共サービスの価格の推移をオンラインで公表することで消費者を保護するとしている。更に、相談所が設置され、争いの場合の仲介役を担う。また電力供給者はElCom連邦電力委員会への登録と顧客サービスとリスクマネージメントの実行が義務付けられる。5万以上の顧客を持つ電力会社は基礎供給と自由市場価格での提供の両方を用意しなければならない。ElComは市場の監視を続け、連邦内閣にそれを報告する義務を負う。必要ならば対抗措置を採ると担当大臣Albert Röstiは記者会見で述べた。合意はスイスに国民に対して、2007年以来EUではそうであるように、電力市場を開く義務があるとしている。この合意は電力供給の安全性、電力網の安定性、電力売買の自由化に寄与するとされる。スイスの電力関係業者はこれによりヨーロッパの電力網の安定性を保つための安全プロセスに組み込まれる。合意は部分的な市場開放も規定している。ただし、この合意によりスイスにはEUの環境権の保護の義務は生じない。電力業界、州、自治団体、社会パートナー、消費者保護団体、環境保護団体などこの事案について発言権のある団体は多く、Uvek連邦環境交通エネルギー通信部との話し合いを求めている。11月末までにRöstiと連邦内閣は合意の内容を説明し、政治の場での議論が行われ、最終的には国民投票に持ち込まれる可能性もある。2025-05-15
Uvek - ElCom - Albert Rösti
年金改革
スイスではベビーブーム世代が年金年齢になり、間もなく、年金受給者が大きく増える。今後10年間、給付額が高くなる。今年、国民投票で承認された13か月分の支給、夫婦の税不公平の解消などで、額は更に大きくなる。そのため連邦内閣は収入を増やすために財源を拡大することを考えている。連邦政府は来る人口構成の波を乗り切る策を打つと健康担当大臣Elisabeth Baume-Schneiderは記者会見で語った。この危機的な期間をカバーするための措置を熟考しなければならない、それがうまく機能しない場合、政府は介入メカニズムを発動しなければならないと大臣は続けた。年金年齢到達後も働くことを勧め、労働年齢の上限70才を引きあげ、任意振り込みを増やすことを考えている。年金生活者が国民年金AHV、障害者年金IV、兵役補償保険EOを追加で払わずに働くことが出来る年収入の最高額は現在、16800フランと定められてい。法定年齢前に年金受給を始めることの魅力を減らす方策も探られている。現在は63才で年金生活に入ることが認められている。内閣は国民基礎年金を社会の変化に合わせるために関係省庁に適した措置を検討することを指示した。今年秋にはAHV 2030と呼ばれる計画の指針が発表される予定で、2026年年初には計画案が示される。2022年秋に有権者が女性の年金年齢を65才に引き上げることをきわどい票差で承認したのが最近の改革だが、その後、2026年からの13か月支給が決まっている。2024年3月の国民投票で否決された年金年齢引き上げは今のところ内閣は考えていない。そのためには補償措置のための長い過渡期が必要で、今の緊急事態には役に立たないというのが理由だ。しかし、次の年金改革について内閣は検討を始めており、年金年齢引き上げ、民法上の地位(既婚、未婚など)に左右されない年金制度について検討する考えだ。2025-05-15
AHV - Elisabeth Baume-Schneider - EO
成功よりも正直
公共放送の総括会社SRGの依頼でGFS Bernが5万人を対象に行った調査で、スイス人は成功よりも誠実さを重んじる傾向があることが分かった。若者たちの間ではWork-Life-Balanceがテーマになることが多く、今の若いものは本気で働く気が無いという声も聞こえる。調査は8の人生モットーから一つを選んでもらうという方法で行われ、83%が自分に合うモットーを見つけた。結果の中には驚くようなものもあり、「とにかく成功」を選んだ人は僅か1.43%だった。その労働意欲で世界でも認められるスイス人だけに意外感は大きい。最も多かったのは「正直」で、29.38%が自分にあるモットーだと答えた。続くのが「人生を楽しむ」の17.11%、「持続する人間関係」の12.62%だった。最も少なかったのは「人に思い出されたい」の0.95%だった。「人生を楽しむ」を選んだ人が最も多かったのはフランス語地域、16から39才の年齢層で、若者たちの間では最もマッチするモットーという結果になった。「正直」を選んだ人はフランス語圏以外の40才以上の人で、イタリア語圏で最も多く、自分は思っている以上に嘘をつくと答えた人は16から39才の年齢層で18%、65才以上では4%となっている。「とにかく健康」を選んだ人は6.42%で、このフィットネス社会では意外な結果となった。2025-05-13
GFS Bern - Work-Life-Balance - SRG
墓荒らし
Valais州のラジオ局Rhône FMの伝えるところによると、Ardonの墓地で30以上の墓が荒らされ、主に金属類が持ち去られた。村長のPierre-Marie Broccardによると銅や真鍮の花筒や燭台が盗まれたが、骨壺が盗まれた墓もあった。数人の容疑者が告訴され、捜査は続いているという。数日前にはMartignyでも同様の事件があり、警察では他にも事例があると見て捜査を行っている。2025-05-13
Valais - Rhône FM - Martigny
不動産津波?
ベビーブーム世代が家を売る時代が来ると不動産業界はひっくり返るだろうとバーゼルの人口学者は話す。USAでもSilver Tsunamiの影響についての議論が行われている。スイスの不動産価格は当たり続けているが、原因ははっきりと人口の増加だ。スイスで不動産を買うのは間違う可能性のない投資のように見える。バーゼルの人口動態学専門センターのHendrik Budligerは、それは間違いだと指摘する。人々は価格が上がり続けると漠然と考えているが、何時かそれが訂正されると計算している。それは二つの予想に基づいている。一つ目は、連邦政府の人口予想は誇張されているということで、実際にはスイスの人口は2043年には減少に転ずると見られる。その理由はEUの動きで、ドイツやイタリアでは既に労働力不足が深刻な状況になっており、就業者の減少は既に進んでいる。税制優遇などの措置で人々を引き留める試みが行われているが、その措置はまだまだ強くする必要がある。第二は人口構成の変化で、売り手が買い手よりも多くなることで、何時かは一軒家の数が家族の数よりも多くなる。その影響は地域的に大きく違い、都市圏では訂正が最後に始まる。North Carolina Unversity で不動産市場の社会への影響を研究しているSarah Dickersonなどは、ベビーブーマーの多くは都市近郊や田園部に家を持っており、それが空き家になる場合、都市で働く現役世代の必要には合わない。銀行UBSによるとスイスでは老齢化と人口流出が同時に起こっている地域が最も危機に晒される。そこでは不動産価格の低下は強く起こり、Graubünden州やBern州の山岳部とTicino州が最も強く影響を受ける。UBSの不動産アナリストClaudio Saputelliはしかし、これは地域的に限られた現象で、平野部でも起こる可能性は小さいと考える。連邦統計局のデータでは最低のシナリオでも2043年まで人口は増え続け、住宅需要も増えるとされている。Budligerは、正にこの期間に不動産を買う人は注意を払わなければならないと話す。住居のおおよその居住期間は20年であり、価格が荒々しく崩れると、今では最低100万フランはする住居のために組んだ住宅ローンを抱える現役世代にとっては経済的な胴体着陸が起きる。しかし、彼ら自身だけではなく、9倍の面積を持つドイツのそれに比べて3分の1にあたる1300憶フランの住宅ローンのボリュームのあるスイスにとっては巨大なリスクとなる。Budligerの警告はしかし、コンクリート金国スイスでは少数意見だ。2025-05-11
Silver Tsunami - Hendrik Budliger - Claudio Saputelli
オーバーツーリズム対策
観光名所の多いスイスでも当然オーバーツーリズムが議論の的になるようになってきた。道路、交通機関、衛生施設、セルフィ―名所などの混雑が大きな問題となっているところは多い。地元民は勿論、観光客自身にも居心地の悪い状況が増えていると州の観光組織Made in BernのPatrik Scherrerは説明する。どこからが不快と感じるかは主観的なことで、Bern大学のAdrian Müllerは、観光をどう感じるかは、そこにメリットがあるかどうかにかかっていると話す。ベルン・オーバランドのOeschinenseeやGiessbachfälleが観光客で溢れたという報道はよく目にするが、入域チケットや駐車場の予約を義務にするなどの対策を採っているところもある。自らホテル経営者でもあるScherrerはソーシャルメディアやシリーズドラマなどで特定の場所が一気に知名度を増すことが原因だと捉えている。この問題がそのうち自然と解消すると考えるのは間違いだとLuzern専門大学の観光専門家Jürg Stettlerは、観光客を減らすための方策を取りすぎると、誰も来なくなるという心配は当たるかどうかは分からないと話す。あらゆることを有料にすることは経営的な熟慮の下で行われるべきで、世論の非難を避けるために何かをするというのは正しいことではない。観光地での制限は増え続けるのだろうか? それは大いに考えられるとStettlerは言う。観光客の流れは何時かは受け入れの限界に達すると見られ、それを有料化によって制限しなければならないとScherrerは、観光客を誘導する措置はホットスポットの実情に合わせて行われるべきで、製図台の上で線引きをしてはならないと警告する。2025-05-09
Made in Bern - Adrian Müller - Jürg Stettler
学生会の終わり
連邦裁判所は学生会が女子学生の入会を拒否するのは違法だという判断を下した。具体的な判決はLausanneのZofingiaという会についてのもので、13の大学と連邦工科大学、専門大学の学生が会のメンバーだ。国際的には非常に遅く、1971年に男女同権が実現したスイスだが、Zofingiaは1819年から存在し、女子学生の参加がテーマになったことは一度もない。今回の判断でおそらく、学生会は大学のEメールアドレスを使えなくなり、集会に大学の講堂を使うこともできなくなるだけでなく、学生会としても認められなくなる。男女を差別しないという大学の理念はこの男社会の残滓とは相いれないもので、公金を使うこととは矛盾することになるからだ。Zofingiaには約3千人のメンバーがおり、最大の学生会、カトリック学生会は6千人のメンバーを擁する。学生会はかつてはエリート集団だったが、今は違う。各州の執行議員にも多くの学生会メンバーがおり、連邦大臣のうち3人も会に所属している。学生会は学生時代だけのものではなく、メンバー権は一生続く。確かに、この組織によって、異なる考えのエリートたちとも平和裏に付き合うことを学んだ人は多い。特にZofingiaは政治的に異なった意見の人たちを一つのボートに乗せることに貢献してきた。これが機能したのは、女性参政権が成立するまでだった。すなわち、学生会は近代化の波に乗り遅れた。今後もおそらく改革は無理だ。2025-05-06
連邦裁判所 - Zofingia - カトリック学生会
Glarus州民議会
5月4日、今年のGlarus州の州民議会も«Ds Wort isch frii»発言は自由です、というお決まりの言葉で始まった。広場Zaunplatzは有権者で埋められたが、天気は予報よりも良く、時々、陽もさし、議論は妨げられることなく続いた。最初の議題は、州民議会出席のための公共交通機関利用が無料だという決まりを廃止しようという州政府の提案だったが、僅か25000フランを節約するために、遠路を議会に参加しようとする州民の足を止めるのは間違いだという意見が通って、否決された。次の議題は人気の観光地Klöntalに自動車フリーの日曜日、3日を設定しようというもので、区域の線引きや、どの日曜日にするかについて長く議論されたが、結局、受け入れられた。スイスでは珍しい提案が第三の議題で、私立小学校の生徒に経済的な援助をしようというものだった。私立学校の創始者が提案者で、長々と議論を続け、州代表Kaspar Beckerは度々「本題に入ってください」と催促しなければならなかった。議会参加者からは「演台から引きずり降ろせ」の声も上がり、結局は予想よりも大差で否決された。ちなみに、議会での発言はA4、1ページに収まる長さが適当だとされている。続く議題は郡の政治制度についてで、3の郡は住民会議を開くか、郡議会制にするかを自由に選ぶことが出来るということで決着した。外国人の投票権についての議論はまた、否定的な決定で終わった。午後になって強い雨が降り始め、Beckerの広場に残るようにという呼びかけに関わらず、多くの人は14時頃にお決まりのソーセージKalberwurstの昼食をとるために会場を後にした。州民議会は他にAppenzell Innerrhoden半州でも行われる。2025-05-04
Glarus - Klöntal - Kalberwurst
労働の日、EUと連帯
昨日の労働の日、スイスでも各地で集会が開かれたが、SP社会民主党や大規模労働組合UniaやVPODだけではなく個人で参加した人も多かった。中心的なテーマはEUとの協約で、最大の問題は賃金保証だ。もしEUと同じ水準に合わせることになると、賃金は減ることは明らかで、労働組合は危機感を示した。しかし、労働者たちの大部分はEUとの協約に賛成で、国際的な連帯は重要だと考えている。参加者の一人はUSAの動きを見ても、EUとの連携は重要だと話した。2025-05-02
Unia - VPOD - EU協約
ワイン、落ち込み
2024年、ワイン売り上げが落ち込んだ。2023年より1860万リットル、7.9 %減り、2億1840万リットルとなったと連邦農業局BLWが発表した。ロゼを含む赤ワインは9%、白ワインは5.9%、発泡ワインは2.5%減った。特に落ち込みが大きかったのはスイス産白ワインで、3970万リットルで、11%の減少となった。外国産ワインはマイナス0.2%で、安定した売り上げだった。スイス産赤ワインは更に落ち込みが激しく、3770万リットルで、20.7%の減少となった。外国産赤ワインも消費が減り、3.8%減の1億40万リットルとなった。スイスワインが市場に占める割合は35.5%に下がった。BLWによると、減少の原因は50年来のブドウの不作で生産量が減ったことで、さらに、若年層を中心にワインを飲む人が減ったことだ。2025-05-01
BLW - -
顔認証禁止
スイスでも公共の場所に監視カメラが設置されているが、顔認証にも利用しようとするアイデアが議論されている。St.Gallen市議会はそれを禁止することを決定した。Zürich, Lausanne, LuzernそしてGeneveでも自動顔認証の導入が検討されているが、St.Gallenは先頭を切って、大量監視によって得られたデータを人工知能により解析することは民主主義と社会生活の危険となるとして、禁止を決定した。2025-05-01
St.Gallen - 顔認証 - 監視カメラ
ハマス禁止
連邦内閣は5月15日からハマスの活動を禁止することを決めた。目的はパレスティーナのイスラム武装組織にスイスからの支援を防ぐことにあるとされる。2025-04-30
連邦内閣 - -
初の女性州代表
東スイスAppenzell Innerrhodenアッペンツェル内ローデン州の州民議会で初の女性の州代表が選ばれた。カトリック政党を母体とする中道政党MitteのAngela Kollerがその人で、1991年に初めて女性参政権が認められた最も保守的とされる州では特筆される出来事となった。被雇用者団体の代表で州議会議員の彼女は3人の男性候補者を抑えて、12年間、その任にあったRoland Inauenの後任となることが決まった。州代表は2年ごとの持ち回りで、現職にはRoland Dählerが選ばれ、Kollerは2年後に任に就き、現職は代表代理で、教育部を受け持つ。2025-04-28
Appenzell Innerrhoden - Angela Koller - Roland Dähler
第三リーグから決勝へ
スイスサッカー界で重要なものの一つスイスカップで第三リーグのチームが決勝に進むことになった。これは第五リーグまであるスイスサッカーのクラブチームの上から数えて64チームがトーナメント方式で戦うもので、アマチュアチームも参加できる。決勝に進んだのはベルン州北部の町のFC Bielで、第三リーグのチームが決勝に進むのは100年近い歴史の中で初めてのことだ。準決勝では2023年まで16回、ナショナルリーグの勝者になったBSC Young Boysと対戦し、疑惑の残る審判の判定の結果ながら、ペナルティーキックを決め勝利した。Bielは時計産業の一つの中心地で、豊かな町ながら、人口5万5千で、サッカーチームも150年近くの歴史の中でナショナルリーグで戦ったのは17シーズンだけだった。2025-04-28
FC Biel - スイスカップ - BSC Young Boys
移出入事情
スイスが移入者国であることには疑いの余地が無いが、再び移出する人の数も多いことはあまり知られていない。2013年から2022年の間の移出入のバランスでは毎年平均66000人の移入超過となっており、これは人口増の85%にあたる。2023年には5万人以上がウクライナから避難してきたために、148000人の記録的な移入超過となった。2024年は95000人の移入超過で落ち着いた。スイス人口の30%は移入第一世代で、元外国籍の人の全人口に占める割合は40%を超し、世界で最も移入者の多い国の一つだ。政党SVPは無制限の移入に反対する立場によって最大政党の位置を保っているが、このテーマは右翼国民政党だけの争点ではなくなっている。その陰で2014年から2022年の間に毎年平均9万人がスイスから移出しているという事実は話題になることが少ない。すなわち移出者数は移入者数の60%にあたるという統計だ。2000年代初頭から移出者数はゆっくりと増えており、2024年には95000人に達した。ウクライナ戦争勃発以来、移出者数は減少して、2023年には移入者数に対する割合は40%に低下したが、2024年には50%に戻っている。再移出率でスイスはヨーロッパ6位と、上位にある。BFS連邦統計局の発表によると、移出率が最も高いのは移入1年目で、2011年にスイスに移って来た20万人の半分が5年以内にスイスを離れている。情報サイトswissinfo.chにBFSが提供した2014年から2023年までの延べ185万人のデータによると2023年までに40%を超す80万人がスイスを後にしている。2019年の調査では移入者の3分の2が一生スイスで暮らしたい、9%が5年はスイスに残りたいとしている。短期間で移出を予定している人は少数で、25%ははっきりと決めていないとしている。すなわち、移出実数は移入者たちの意図よりははるかに多い。この差はどこから来るかについては、移住の事情はそれぞれで、多岐な要素があり一般的な傾向を探り出すことは難しいが、滞在許可の種類がその一因であることは間違いない。スイスに移住する人はまず、短期滞在許可または暫定滞在許可を手に入れるが、2011年には暫定滞在許可が全体の3分の1を占めたが、そのうち70%が移出している。短期滞在許可を受けた人たちでも半数がスイスを離れた。2011年の移入者のうち11年後にもまだ更新を申請したのは少数で、およそ30%が無期限滞在許可を、4%がスイス国籍を取得している。無期限滞在許可は就業が条件で、家族の事情と並び大きな要因となっている。また、年金年齢への到達を機にスイスを離れる人も多く、物価の孤島と呼ばれるスイスよりも経済的に楽な国に移るというのが理由だ。スイスの言語が十分にできない、または資格がスイスでは認められないという人にとっては生活は難しいとNCCRスイス移民研究センターのLiliana Azevedoは説明する。2025-04-24
BFS - swissinfo.ch - Liliana Azevedo
大きくなるチーズの穴
穴あきチーズとして知られるEmmentalerエンメンタールチーズの穴が年々、小さくなっているというのが一般の認識だ。穴の原因は牛乳に混入した牧草の花粉で、搾乳現場の衛生状態が向上することで花粉の混入が減り、穴が小さくなるという論理的な筋書きとなっている。フランスやドイツでは人工的に花粉を混入させて穴を大きくするチーズ生産者も多いが、本場のEmmentalではそれが許されていない。それは原産地呼称保護には添加物として花粉は書かれていないからだ。商標連合Emmentaler Switzerlandは法的にそれを変更する戦いを続けて来た。連邦農業局BLWはオランダのエダムのような工業チーズとは同じ穴あきでも同列に論じることは出来ないとの立場だった。乳牛農家は伝統的な製法に従い、再び素手で乳を搾る訳には行かないが、伝統とイノヴェーションの適度な混合が望ましいという趨勢もある。農家団体は農業局に対して大きな穴こそが伝統で、このチーズの名声を落とすことは出来ないと主張し、裁判所の判断に大きな影響を与えた。裁判所の判断では花粉の混入は製法の工業化とは言えないとして、知らないうちに花粉が混ざっていた状態を再現する事こそが伝統を守ることだとした。他のチーズでは既に花粉が使われており、エンメンタールチーズで何か問題が起きるとは考えられない。連邦行政裁判所BVGerの判断は指標的な意味合いがあるが、連邦裁判所に上告される可能性もある。2025-04-11
Emmentaler - BVGer - BLW
スイスを避けるジャーナリスト
いわゆる捜査ジャーナリストは今、スイスでの滞在を避けている。スイスでは銀行守秘義務が有効であり、それに抵触する行為は刑罰の対象となるからだ。これらのジャーナリストの取材対象は当然、金融機関が多く、2022年にはSüddeutschen Zeitung, The Guardian, Le Monde, Organized Crime and Corruption Reporting Project (OCCRP)のジャーナリストたちが特に、経営不振に陥り、UBSに買収される形で救われた銀行Credit Suisseが、拷問や人権侵害の疑いがかけられていたエジプトの当時の機密機関の長官の資産を管理していたことを調査して記事にした。それに関わったItalian Center for Investigative ReportingのジャーナリストCecilia AnesiはLuganoでの講演を、周りからの助言に従いキャンセルした。OCCRPのAntonio Baqueroとドイツ人ジャーナリストFrederik Obermaierもスイスを避けていると話す。2022年末に連邦政府は連邦検察にCredit Suisseに関わる銀行守秘義務違反について厳しく捜査することを命じ、内部告発者は今でも捜査対象となっている。銀行守秘義務が報道の自由に反するという議論があり、2023年には財務担当の連邦大臣Karin Keller-Sutterが、憲法で保証されている報道の自由の重要性を認め、必要な調査を行ると言明している。2025-04-10
Credit Suisse - OCCRP - Cecilia Anesi
EU研究計画に復帰
連邦政府はEUが提案した研究教育計画への参加条件に同意を表明した。Horizon Europe, EuratomとDigital Europeが主なもので、2025年1月1日に遡って発効する。経済担当連邦大臣Guy Parmelinが記者会見で発表したもので、スイスは今年分として6億3千万フランを拠出する。合意に署名が行われるのは11月になる予定で、有効期限は暫定的に2028年末までとなっている。それまでにこの合意は国民投票で承認される必要がある。2025-04-10
Horizon Europe - Euratom - Digital Europe
関税猶予、スイス大臣が影響?
Trumpの関税攻勢に対して各国の首脳が彼との話し合いを求め、話し合いを行ったが、スイスの今年の大統領Karin Keller-Sutterもその一人だ。電話会談が行われたのは10日のワシントン時間の午前9時、スイス時間の15時で、25分間のものだった。その数時間後にTrumpは90日間の実施猶予を発表したが、それを報道したWashington Postが挙げた唯一の外国首脳がKeller-Sutterだったことが注目を集めた。話し合いの中ではUSAへの投資でスイスが世界9位であることを強調し、特に製薬会社RocheとNovartisの功績を挙げた。また、スイスが昨年、USAの工業製品にかける関税を廃止したことも説明したと見られる。ホワイトハウスは中国、日本、EUが共同戦線を張ることを警戒している。Trumpのこの政策はこの40年の経済研究結果に反するものだが、これが最後の関税ロデオとはならないだろうとの見方が強い。2025-04-10
Karin Keller-Sutter - Washington Post - Roche
緩やかな人口増
BfS連邦統計局の発表によると2024年末のスイスの人口数は9048900で、史上最高となった。移入数は記録的な年だった2023よりも減り、移出は増えた。定住者数は2023年から86600人増えた。最も人口増加率が高かった州はSchaffhausenの1.8%で、FribourgとWallis/Vlaisの1.5%続き、最も増加率が低かったのはTicinoとAppenzell Ausserrhoden0.3%で、Juraの0.4%が続いた。前年よりも人口増が弱かったのはウクライナからの移民が2023年に定住人口に数えられるようになったことへの反動が主な原因だ。出生数は前年よりも約2000減った。2025-04-03
BfS - Schaffhausen - Ticino
新コロナウイルス見識
Universität Bernベルン大学の研究チームはコロナウイルスのたんぱく質NSP1の分析を続けているが、これがウイルスの分裂繁殖を担う鍵となる働きをすることを突き止め、その仕組みを分析している。ウイルスには様々な種類があり、それに対処する薬品も多岐にわたる。NSP1の働きを抑えるためにはどの薬品が効果的かを確かめるために現存するすべての薬品が試されるが、そこで何も見つからない場合は、新たな物質を作り出す必要が出てくる。大流行が収まった今、新たな薬品を開発することが大きな意味を持つのかは、その研究開発に多くの資金を必要とするために、議論の分かれるところだ。例えば、HIVに対する薬品は感染者が一生、摂取しなければならないため、薬品工業にとっては意味があるが、コロナのような急性的な感性拡大の場合に必要とされる抗ウイルス薬が商業的に見合うようになるにはさらなる努力が必要だ。インフルエンザ治療薬Tamifluのように期待されていたようには売り上げが伸びない例もあるが、このベルン大学の研究が抗ウイルス薬品開発のきっかけになる可能性はある。2025-04-03
Universität Bern - NSP1 - Tamifluタミフル
Trump関税騒ぎ
いわゆるTrump関税は世界各国でパニックを起こしているが、スイスも全体で31%の関税が課されると発表され、激しい反応が起きている。EUに対する20%の課税に比べて大幅に高い税率の理由について様々な分析がなされている。スイスの最大の輸出先はUSAであり、薬品はこの課税から除外されているが、他の業界、例えば金属、機械、食品などには重たい負荷となる。経済上部団体Economiesuisseはこれを通商政策のエスカレートと表現して、この課税についての実体的な根拠はないとしている。実際、スイスはUSAからの工業製品の輸入への関税を廃止している。Trumpは、スイスはUSA製品に61%の負荷をかけていると主張するが、その根拠は明らかにされていない。スイスのUSAでの投資額は世界6位で、特に研究開発の分野では世界最高であり、雇用と納税で大きな貢献をしているとして、経済関係者、団体はこの課税を避ける努力をする方針だが、政治では現在、現連邦大統領Karin Keller-Sutterが、国際法と自由貿易が中心課題であることに変わりはないという談話を発表するにとどまっている。2025-04-03
Trump関税 - Economiesuisse - Karin Keller-Sutter
Google-AI
Googleは人工知能を使った検索サービスをスイスでも公開した。AI Overviewはドイツ語、フランス語、イタリア語、英語で利用可能で、18才以上であることが利用の条件だ。言語モデルGeminiの派出ツールで、検索テキストはまず人工知能での検索が妥当であるかが判断され、否定の場合は在来のリンクリストの検索結果が表示される。検索結果はGoogleが直接、表示するため、これまでのような参照元の信頼性を確かめることが難しくなる。それにも関わらずGoogleがこの一歩を踏み出すのは、ChatGPTへの対抗と見られ、さらに長く苦労している、自らのアルゴリズムを使うことで操作されることになる検索結果の質の問題の解決に向けての決定と見られる。生成AIでは偽のウェブサイトを作り、それを重要そうに見せることが簡単になるため、Googleの本来の方針とは矛盾が生じることが予想される。2025-03-29
AI Overview - Gemini - ChatGPT
MoMA新館長
1995年以来、MoMA, Museum of Modern Art di New Yorkの館長であるGlenn Lowryが辞職することになり、後任にスイス人のChristophe Cherixが就くことが発表された。彼は同博物館のデザインと広報の責任者を務めており、9月1日に館長に就任することになっている。CherixはGeneveで生まれ、同地の美術歴史博物館の館長だった。MoMAでは“Yoko Ono: One Woman Show, 1960-1971”、 “Adrian Piper: A Synthesis of Institutions、 1965-2016” と “Betye Saar: Legends of Black Girl’s Window”を担当した。2025-03-29
MoMA - Glenn Lowry - Christophe Cherix
乳児の重症減る
EKiw連邦予防接種委員会の総裁Christoph Bergerはインフルエンザの大規模感染は終息したと発表した。昨年冬に比べて感染は大きく広がったが、新配合の予防接種はウイルスにうまく適合したため、特に乳幼児の入院例は少なかった。しかし、その効果を顕したのは接種を受けた人の30から50%に留まったと委員会では推算している。昨年、4月以後に生まれた乳児は秋にはじめての予防接種を受けたが、その効果は70から80%に上ったとBergerは話す。昨年から妊婦にも予防接種が許されたことも成功につながったと考えられている。2025-03-20
EKiw - Christoph Berger -
新連邦大臣
辞任した連邦大臣Viola Amherdの後任を選ぶ選挙が両院総会で行われ、現Zug州の執行議員で61才のMartin Pfisterが農家組合会長のMarkus Ritterを破って当選した。1回目の投票では過半数に1票足りなかったが、2回目の投票では、1回目に無効票を投じた議員がすべて有効票を投じて、Pfisterの当選が決まった。政党Die Mitteに所属するAmherdの後任選びは、同党の有力者が次々と辞退して、先行きが危ぶまれたが、先ずRitterが立候補を表明し、次いでPfisterが立候補した。日本語で合議制と訳される調和政治をモットーとするスイスでは同じ党の人が後任に選ばれるのが通常だが、多くの場合、当て馬候補を含む他党の候補者が出ることがあるが、今回はその気配は全くなかった。この結果の原因はMarkus RitterがSt.Gallen州選出の国会議員であることで、同州からの連邦大臣Karin Keller-Sutterが既にいることだと考えられる。党だけではなく地方のバランスもスイスでは重要な政治的要素だ。かつて軍の要職に就いていたPfisterがAmherdの軍の担当大臣を継ぐことは確実と見られる。国会議員の経験のない人が連邦大臣に選ばれることはスイス史上、初めてのことだ。2025-03-13
Martin Pfister - Markus Ritter - Viola Amherd
聖書里帰り
ロンドンのBritish Libraryが所蔵しているbible moutier grandvalが里帰りして公開されている。この手書きの絵付きの聖書はフランスのSaint-Martin de Tours修道院で830年頃に作られ、スイスのジュラ州の修道院Moutier-Grandvalに寄贈されたものだ。完全に保存されている世界最古のイラスト付き聖書のひとつとされ、大きさは50cmX37.5cmで重さは22㎏だ。この898ページの聖書を制作するには200頭以上の羊の皮が必要だったと考えられる。この時代を超えて非常に良好な状態で保存されている聖なる書物は旧約、新約聖書にSaint-Jérômeのコメントと英国の聖書学者Alcuinoの詩が添えられており、制作には20人余りの修道僧が携わったと考えられる。DelémontのMusée Jurassien d’Art et d’Histoireでの展示は2025年6月8日まで続く。2025-03-08
bible moutier grandval - Saint-Martin de Tours - Musée Jurassien d’Art et d’Histoire
何処へ?郵便局
スイス郵便die Postは2028年までに170の郵便局を閉める方針を発表しているが、業務を受け継ぐパートナーを探すことはなかなか難しい。地方自治体は地域に郵便サービスを受け持つ事業者を血眼で探しているが、適当なパートナーを見つけるのは難しいのが現状だ。郵便局を減らすことの理由は郵便利用と窓口での払い込みの激減だが、労働組合Syndicomはこの方針は空振りに終わるだろうと批判している。最も郵便局閉鎖の予定が多いのはベルン州で、95のうち25の営業終了を発表している。市町村の首長にとってこれは受け入れられない話で、中にはこの間まで二つの郵便局があった町から郵便局が無くなる例もある。このような場所ではそもそも店舗の廃業も多く、郵便業務を受け入れる事業者を見つけるのは非常に難しい。郵便業務を受け継ぐパートナーは年間1万8千フランまでの補助金をスイス郵便から受けるが、十分な額とは言えないという自治体が多い。一方、既にスーパーマーケットへの組み込みが実現しているところもあり、Lauterbrunnen郡に所属するMürrenでは、これまで苦情は1件もないとしているが、営業終了前に郵便局はサービスを大幅に減らし、利用者からの苦情が相次いでいたことの反動との見方もある。これはスイス郵便の作戦だったのかと首長のKarl Näpflinは疑っている。スイス郵便の広報担当Patrick Stöpperは、理由は需要の小ささであったとこれを否定している。もし、パートナーが見つからなくなった場合は出張サービスも一つの選択肢だとStöpperは話すが、首長たちの反応は否定的で、1万人もの人口がある町に郵便局が無いというのは理解できないとする声が多い。スイス郵便と自治体の合意が得られない場合は連邦の仲裁機関Postcomに持ち込まれるが、そこでの争いも辞さないとする首長もいる。2025-03-08
die Post - Syndicom - Mürren
苦しい時計業界
時計業界は難しい時期を過ごしている。高級時計の部品を作る企業Atokalpaがあるジュラ州の小さな町Allではすべてがこの従業員160人の会社を中心に動いている。コロナ危機以後、40%伸びていた売り上げが昨年、25%減ったと総裁のSébastien Jeanneretは話し、最大の原因は中国の需要の減少だと明かす。彼は、2022年と2023年にも市場は過熱しており、生産規模の拡大を控えるべきだと警告してきたが、多くの時計会社はそれを聞かなかったと話す。Atokalpaも顧客を失うことを恐れて、従業員を増やし、工作機械を増設したが、今、大多数の非正規雇用者を解雇しなければならなくなった。ジュラ州都Delémontでは経済労働部長のClaude-Henri Schallerが1月の失業率が5%に達した、これはスイス最高だと話し、影響は時計会社とその部品納入会社だけではなく、機械業界などにも広がっていると説明する。ジュラ州では職場の1割以上が時計と関連しており、時計産業とともに生きることが州民に染み着いている。長年、時計業界で働いてきて、今はAtokalpaの経営役員でもあるPhilippe Peverelliは、時計商売はマラソンで、今は苦しい区間を走っているが、これに耐えなければならないと話す。州関係者、経営者、労働組合はしかし、口を揃えて、時計業界は間もなく上向くと話している。Peverelliはこの楽観論の理由の一つとして、スイスが機械式時計の技術を独り占めしていることを挙げ、世界のどこかでそのような時計を買う人はそれがMade in Switzerlandであることをほぼ間違いなく知ることだろうと話す。おそらく、中国では少なくなるが、USAや南米ではそのチャンスは大きくなると彼は考えている。2025-03-08
Atokalpa - Claude-Henri Schaller - Philippe Peverelli
セクハラ、ゼロ寛容
ジュネーヴ大学病院は最近起こった事例を受けて、性的ハラスメントへのゼロ寛容の方針を決めた。最近就任した院長のRobert Mardiniは、被害者が報復を恐れることなく届け出ることが出来る空間を作りたいと公共放送ラジオRTSで表明した。この方針がすべての部門の責任者からすべての職員に通達され、安全な職場環境が実現することを望むと彼は話した。労働組合VPODは、長年の取り組みが実を結んだと、この方針を歓迎すると発表した。RTSは1月に多くの事例を報道し、外科医、科部長などによる様々な地位濫用を明らかにした。これらの放送に衝撃を受けたというMardiniは、苦しみを癒す場所が苦しみを生み出す場所になることは受け入れがたいと話し、この問題を真摯に断固として解決しなければならないが、その際、あらゆる一般化や烙印を押すことは避けなければならないと表明した。ロザンヌ大学病院でも同様の方針を決めており、そのための機構の改編の実現化を検討している。2025-03-08
HUG - Hôpitaux universitaires de Genève - Robert Mardini - CHUV: Centre hospitalier universitaire vaudois
2月の失業率
2月の失業率は前月の3%から下がって2.9%となったと地域就職斡旋センターRAVと国家経済書記局Secoが発表した。季節的な原因が大きく、2月に多くの工事が始められたことが失業率低下に寄与した。全国でRAVに登録されている失業者は135'446人で、1月よりも327人少ない。季節要素調整後の失業率は2.7%となるが、季節要素に最も強く影響されるのは建設と飲食業界だ。仕事を探している人は212'699人で、1月に比べて僅か104人の減少だった。求人数は44'398で、こちらは5.6%増えた。集計が遅れる就業時間短縮は昨年12月、前月比でほぼ半減して、 5733だった。時短を最も強いられたのは機械と時計業界だった。2025-03-08
arbeit.swiss - Seco - ch.ch
国立銀行、黒字復帰
SNBスイス国立銀行は2024年の決算を発表した。807億フランの黒字となり、州と連邦に30億フランの配当金が分配される。外貨為替による利益が673億フラン、保有金による利益が212億フランとなったが、フランの為替では74億フランの損失となった。運営コストは4億フランと発表された。前年の大規模損失から立ち直った形だ。2025-03-03
SNB - -
初の女性執行議員
Wallis/Valais州の選挙で、執行議員にFranziska Biner(Mitte)が第一回投票で過半数をはっきりと超える52249票を得て、当選した。州にはこれまで女性執行議員は存在しなかった。カトリック政党を母体とするMitteは4年前の選挙で州執行部の過半数を失った。今回の選挙でも2人となり、SVP、FDP、SPがそれぞれ一人という図式になった。2025-03-03
Wallis/Valais - Franziska Biner -
まだ続くコロナ危機
Covid-19危機の終息が宣言されて2年になるが、法的にはまだ終わりが見えていない。第一には政府の非常事態措置が適法であったかが問われ、公共交通機関内でのマスクの着用義務、予防接種を受けないことによる解雇などが法廷でまだ争われている。訴えの数が非常に多いため、多くの案件が保留となっているが、その数は裁判所によってばらつきがある。個別の訴えだけではなく、これまで法的判断が行われていなかった事項も多い。最も件数が多いのはコロナ融資についてで、不正利用についての案件はこれまで1800件が法的手続きが了終しているが、まだ3000件余りが残っている。裁判費用が莫大であることから政府は2000万フラン相当の訴えを取り下げた。まだ多く残っているのは労働時間短縮に対する補助金などに関する裁判で30件余りがまだ民事裁判所で保留となっている。いくつかの案件は上告されることが予想されるため、一応の終息を見るまでに今後2年はかかると見られている。2025-02-28
Covid-19 - コロナ融資 - 労働時間短縮補助金
伝統デパート閉店
チューリヒの目抜き通りBahnhofstrasseにある高級デパートJelmoliは今日で営業を終える。持ち株会社Swiss Prime Siteは2024年末の終了を発表していたが、2か月遅れの閉店となった。理由はオンラインショッピングの広まりと消費者の嗜好の変化が挙げられている。残される建物には2027年に同業のManorが入居することになっており、同じ通りにある店舗は高すぎる賃貸料をめぐる長い法的な争いの後、閉店した。Manorは建物の半分だけを使用し、他はオフィス、娯楽施設、レストランなどが入居することになってる。2025-02-28
Bahnhofstrasse - Jelmoli - Manor
脱線事故検証
2023年8月に起こった鉄道トンネルGotthard-Basistunnel内での貨物列車の脱線事故は大きな損傷を与え、復旧、全面再開までに1年余りの時間がかかったが、その検証結果がまとまり、発表された。安全調査所の依頼を受けた検証チームは元連邦鉄道SBBの車両調達責任者Ruedi Beutlerを始めとする4人の専門家からなる。発表によると脱線の原因は車輪の破損で、貨物列車がディスクブレーキではなく、車輪に負荷をかけることで動きを止めるシステムが車輪の劣化の大きな原因だとしている。実際、この事故を受けたヨーロッパのタスクフォースは77のひびが入ったり、破損した車輪を確認している。今のままの運用では同様の事故の可能性は常にあり、予防のためには頻繁な検査または、現在まだ存在しない自動検査装置の導入が必要だとされるが、貨物運送は国際的な事業であり、多くの事業者が関わっているため実現は難しい。事故時の列車の時速は100㎞だったとされているが、最高時速は120㎞であり、高温になるため、以前と比べて車両部品の消耗は激しい。事故当時、全ての運行指針は守られていたことが確認されているだけに、解決は指針の見直しだけでは実現しないと考えられる。また、原因が一つの部品の品質にだけかかっているのではないため、責任は運営者のものとなり、今回も補償責任は今のところSBBが全面的に負うこととなっている。昨年12月、責任の所在を規定すべき動議を担当の国会委員会と連邦内閣が国会に提出したが、僅差で否決された。運輸関係の事業者でもある国会議員Benjamin Giezendannerは、責任の所在ではなく、技術的な基準を設定し、それに合致しない車両は運行できないようにするべきだと主張している。担当の連邦交通局BAVはこの報告を認識しているとしながらも、詳細が明らかになるまで態度の表明は控えるとしている。検証チームはとりあえずの予防策として、高温にさらされたことが確認された部品は廃棄処分にすることを提案している。2025-02-28
Gotthard-Basistunnel - Ruedi Beutler - Benjamin Giezendanner
どうしたスイス軍
昨年末に担当の連邦大臣Viola Amherdが今年3月末での辞任を発表したが、今、スイス軍の最高司令官Thomas Süssliが今年末の辞任を発表し、さらに連邦情報部のトップChristian Dusseyが2026年3月に辞任すると発表した。更に、連邦の軍備企業RUAGの幹部に高額の横領疑惑がかけられている。連邦防衛部では戦闘機F-35の購入で大きな意見の衝突があり、遅れに遅れていたIT化も、ここでも横領事件もあり、結局は途中でストップしたままだ。世界の安全状況が不安定になっている今、軍の人事が揺れることは大きな不安材料であり、政治も右往左往の状態となっている。特に、Dusseyは今後13か月、任に留まるため、職場での人間関係が不安定になることも考えられ、大きな問題だ。2025-02-27
Viola Amherd - Thomas Süssli - Christian Dussey
農業見本市
St. Gallenで開かれた第23回の国際専門見本市が動物と科学に関するテーマで大きな関心を集め4日間で32000人が訪れた。農業関係ではスイス最大の見本市が開かれる会場で開かれたが、農業には欠かせないプラットフォームであることが証明された。イノヴェーション、専門知識の交換、ネットワークの構築などが重要なテーマだと支配人のAnna-Catrina Waltは話す。545の事業者が出展し、サービスと製品を披露し、多くの専門的な会話が交わされた。特別展示、「明日のファーミング」も大きな関心を集め、ソフトウェアのスタートアップ企業の社主Marcel Beerliは突っ込んだ話し合いによって多くの顧客を得ることが出来たと話す。人気を集めたのは150頭の各種の牛を集めたIGBSショーだった。2025-02-24
St. Gallen Internationale Fachmesse - Anna-Catrina Walt - IGBS
オンライン投票OK
Basel市州議会は議会規約を改正し、様々な理由で議場に出席できない議員がオンラインで投票することが可能となった。州議会は夏休みの期間を除いて毎月2回、年間20回ほど開かれることになっているが、通例では丸一日かかり、6月と12月には追加議会が開かれる。例えば、新生児を抱える父母や病気にかかった場合、職業上、度々、出張に出かける人などは出席が難しくなることがあるが、それは遠隔投票の理由として認められる。そのような理由が無くても年4回まで遠隔投票が認められる。市民政党が50、左派政党が49の議席を占める州議会では一票が成否を分ける場合が多く、重い症状を圧して議場に出る議員も少なくない。在宅や外国から議会に参加するためにはコンピューターのウェブカムで本人確認が必要で、討議中も議会職員が遠隔参加の議員を監視し、スクリーンショットが定期的に撮られると議会職員長Beat Fluryは説明する。この新規則は議員からは概ね好意的に受け止められているが、右派のSVPからは批判も出ている。2025-02-24
Basel市州議会 - Beat Flury -
環境発議、否決
昨日、日曜日、2月09日に行われた国民投票で連邦段階で唯一の、地球の限界の中での責任ある経済を求める発議は反対69.8%ではっきりと否決された。発議は若い緑の党によって行われたが、ヨーロッパで一般的に環境問題への興味が弱まっていることがこの投票でも裏付けられたかたちだ。すべての州で反対が上回り、最も反対票が多かったのはSchwyz州の84.6%、賛成票が最も多かったのはBasel市州の45.3%だった。州段階の投票ではLuzern州で選挙権16才が否決され、Basel地方州とSolothurn州では最低賃金に関する発議は一方はきわどく、一方ははっきりと否決された。求められていた時給は22フランと23フランだった。Bern州では太陽光発電を一部義務化しようという発議が否定され、Solothurn州では建築基準を含むエネルギー法の改正案が否決された。2025-02-10
若い緑の党 - Schwyz - Basel市州
更に節約、放送
視聴料の割り当ての変更と広告およびスポンサー収入の減少で2020年に始まった公共放送の改変と倹約はさらに進み、この夏には主に有名人にスポットを当てた夕方の人気番組Gesichter und Geschichten «G&G»が終了すると発表された。これにより20の職場が削られる。2026年に予定されている調整の終了を達成するためには急がなければならないとドイツ語圏公共放送SRFの総裁Nathalie Wapplerは説明する。 IT化のコストが増える一方で、賃上げを物価上昇に合わせるていくことはもうできなくなったという。SRFでは改変の主眼をプライムタイムとされる19時台に向けており、人材を含むリソースをこの時間帯に集中する方針だ。テレビとラジオだけでなくオンラインでのサービスも縮小される。2025-02-08
G&G - SRF - Nathalie Wappler
サイレンテスト
明日、2月の第一水曜日は警報サイレンのテストの日と決められている。全国で一斉に13時30分から14時まで一般警報が試され、その後16時30分まで貯水池の下流地域などのサイレン、更に洪水警報サイレンが試される。近隣諸国で最もサイレン密度が高いのはドイツで、オーストリアが続き、フランスはスイスよりも密度が低い。警報サイレンはスイスでは連邦住民保護局BABSの担当となっており、全国で7200ほどのサイレンが設置されている。テスト以外に警報サイレンを聞いた時にはラジオで流される当局の指示に従い、近所に注意を促すように求められている。水に関わる警報の場合は直ちに避難することが勧められている。 2018年以来、スイスではAlertswiss-Appが稼働しており、携帯電話などで情報を得ることが出来る。2025-02-04
SRF公共放送 - BABS - Alertswiss-App
AI教育ブーム
AI人工知能の広がりに伴いスイスではその教育機会の提供が増え、ブームといえる状況になっている。スイス郵便では自己開発の外国からの小包の自動関税計算のためのシステムのための教育講座を提供している。スイス最大のチューリヒの専門大学ZHAWでは20のCAS(Certificate of Advanced Studies)コースが提供されている。希望者が増えたため、いくつかのコースは二重に行われている。ルツェルンのHochschule LuzernではMachine Learning課程で24人が学んでいる。最も学習者が増えたのはチューリヒのHWZで、2023年の18人から112人に増えた。2024年、スイスではテーマAIが爆発的に広がっていると教員のAfke Schoutenは話し、1回の予定だった講座が4回繰り返されたという。AI教育機会の状況を把握することを目的とするウエブサイトKImpactの創始者のひとりChris Beyelerは、この増え方は雨後の筍状態だと説明する。IT部門で働く人にとってはAIの学習は必須となっており、多くの作業はすでにAIが担っているという。2025-01-28
ZHAW - Hochschule Luzern - KImpact
史上最も正確、鉄道
2024年、スイスの鉄道は前年よりも正確に運行された。連邦鉄道SBBによると、93.2%の列車が定時に終着駅に到着した。これは前年比0.7%のプラスだ。特に改善したのは西スイスで、前年比2.7%増の91.9%となった。イタリア語州Ticinoでも大きく改善し、2.1%上がって、92.6%となり、史上最高となった。インフラストラクチャーや機材の信頼性が高まったこととともに、天候が良かったことがこの結果に結びついたと分析されている。しかし、11月の大雪による混乱は、極端気候に対するシステムの脆弱性を露呈し、一日としての正確度の記録は史上最悪となった。一方、貨物輸送は正確さを減らし、1.8%下がって88%となった。原因はITシステムの更改と、Gottardoトンネルの修復工事の影響だ。スイスでは3分までの遅延は定刻と判定され、ドイツの6分よりも厳しい基準となっている。2025-01-28
SBB - Ticino - Gottardo
隣家から電力を買う
自前の太陽光発電施設などで発電している人は自家消費で余った電力は電力会社に買い取ってもらうことになっていたが、今年からいわゆるヴァーチャル共同自家消費という仕組みで近隣の家庭に売ることが出来るようになった。同じ電力網に両方が繋がっていることとSmart Meterと呼ばれる電力計を設置していることが条件だ。水力発電でも同様で、自前の発電所を持っている石材会社を所有するSamuel B. Moserは数年前に更新した発電所での発電量が工場で必要となるものを大きく上回るため、近隣の20戸に供給している。いわば電力の地産地消で、送電網の負担を減らし、ひいては大型発電施設の建設の必要も少なくなるとされる。電力会社の団体VSEのThomas Martiは導入初期に短期的にはコストが上昇することがありうると考えている。 2024年6月9日に国民投票で承認された電力供給法の改正によりこの仕組みが可能になった。2025-01-27
Smart Meter - Samuel B. Moser - VSE
WEF開幕
USA大統領の就任式と時を同じくしてDavosで恒例の国際経済フォーラムWEFが開会する。世界60国の経済界、学術界、政界から3000人の出席が予定されている。注目される出席者はウクライナのゼレンスキ大統領、EU委員会のVon der Leyen総裁、中国副首相の丁薛祥、アルゼンチン大統領Javier Mileiだが、スイスの連邦大臣も7人のうち6人が出席を予定している。会場の安全のために各州の警察に加え、軍からも5000人が動員される。この小さな町の直径46㎞の範囲が厳重な警戒化に入っている。JuSo青年社会党や環境活動家によるデモが既に行われている。2025-01-20
WEF - Davos - JuSo
大臣辞任
連邦軍を主に所轄する連邦大臣Viola Amherdが3月末に辞任すると発表した。2019年1月1日に就任したAmherdは一貫してVBS連邦防衛住民保護スポーツ部を担当してきたが、軍の女性の割合を増やす決定を発表する記者会見で辞意を表明した。最近、右翼保守のSVPスイス人民党からの辞任圧力が強まっており、彼女が連邦大統領の任を担った2024年の終わりとともに、辞任するという憶測は長くあった。防衛大臣としての業績の最大のものは戦闘機の購入だが、これは国民投票できわどく承認された。さらに、イスラエルの偵察ドローンの購入やNATOに接近する試みなどが右派陣営から強く批判されてきた。辞任のニュースが伝えられると直ちに後任者についての議論が湧いているが、彼女の所属する政党die Mitteの総裁Gerhard Pfisterは立候補の可能性を否定した。しかし、同党から後継者を出すことには固執している。2025-01-20
Viola Amherd - VBS - die Mitte
乳製品は安定して好まれる
大学Universität St. Gallenの調査によると、スイスでは意識的に食肉の消費を減らす動きが出ている一方で、牛乳製品は依然として好まれている。大学の商業研究所IRM-HSGが3年間にわたり行った調査で、食肉を減らす、いわゆるFlexitarismusの動きが出ている一方、菜食主義はほとんど伸びていない。カラスムギや大豆を使った牛乳代替え食品は段々と広がっているが、牛乳と競合する段階にはまだ達していない。2022年と2024年の間に肉や魚を食事から減らそうとする人は18.3%から26.6%に増えた。目安とされているのは一週間の消費で食肉が300g、魚介類が200gを超えないというものだと調査の共同責任者Matthias Eggenschwilerは説明する。同じ期間になんでも食べるという家庭は70.6%から63.6%に減った。牛乳や卵は食べるという菜食の家庭は7.8%から8.1%に増えた。動物性の食品を完全に避ける、いわゆるヴィガーンの家庭は0.5%から0.3%に減り、非常に低い割合に留まっている。魚は食べるが肉は食べないという家庭も2.7%から1.3%に減った。一方、乳製品の消費は安定して推移している。植物性代替え食品は1.3%増え、11.5%になったが、64%の人は一度も消費したことがないと答えている。調査が行われた期間は雨の日が多く、バーベキューをする人が少なかったことも肉の消費が少なかったことの原因ではないかと調査者は想像している。2025-01-17
IRM-HSG - Matthias Eggenschwiler - Flexitarianism
EUと協定合意
スイスとEUは20の二者間協定と100を超えるその他の協定で合意した。1994年に成立したばかりのEUとスイスとの協定が初めて結ばれ、人物自由往来、貿易障壁の調整、農業、交通、科学研究に関する関係が規定された。当時はスイスが将来、EUに加盟することを想定して交渉が行われた。2004年にはSchengen協定、Dublin規約に関連して移民や亡命についての第二の二者間関係協定が結ばれ、関係は安定すると考えられたが、その後、電力などに関わる問題が出てきた、さらにEU新加盟国の融合が迅速に進められたために、スイスとの関係も見直す必要が出てきた。2008年にEUはスイスとの関係を枠組み協定にまとめることを要求したが、実際の交渉は2014年に始まった。スイスが特恵関係を求めたことがあり、その間に英国のEU離脱が起きたこともあり、遅れ、2021年にはスイス連邦政府が交渉を中断した。そのために、研究計画Horizonからスイスが除外されるなどの事態が起きた。2022年にスイス連邦政府は新たな交渉の可能性を探り始め、技術貿易、電力、食品安全などを含む協定の合意が今、やっと実現した。2025-01-14
二者間協定 - Brexit - Horizon
今年変わること
2025年に発効する法律や政令は多数あるが、知られていないものは少なくない。まず、外国で買い物をして無税でスイスに持ち込める限度が一人当たり150フランに引き下げられる。同性愛を理由として献血を拒むことが違法となる。12月28日以来、販売される小型電子機器のUSB-C端子が義務化されている。英国に旅行しようとするものには4月2日から11フランの電子入国許可ETAが義務となる。子供手当が全州で月額、200から215フランに引き上げられる。不要に排気音を大きくするマフラーの改造が禁止される。FMラジオが停止され、デジタルラジオDAB+に移行する。電力料金が平均10%引き下げられ、平均家計で年間140フランほどの節約となる。公共の場で顔を覆う服装をすることに対して1000フランまでの罰金が課される。これには宗教施設、カーニヴァル、健康上の理由や寒さを防ぐ目的などの例外が設けられている。国民基礎年金AHVの支給額が2.9%、引き上げられる。これは最低年金額の場合、35フランに相当する。2025-01-02
- -
新連邦大統領
7人の連邦大臣が1年ごとに持ち回りで受け持つ連邦大統領にKarin Keller-Sutterが昨日、就任した。彼女はSt.Gallenの出身で、経済政党FDPに所属し、内務担当の大臣だ。就任の挨拶では、良い意味での慎ましさはスイスの伝統的な価値で、様々な組織が助け合って機能していくことが基本的な条件だと話した。2025-01-02
Karin Keller-Sutter - -
FMラジオ終了
公共放送を傘下に持つSRGは政府の決めた方針に従い2025年1月1日0時に超短波ラジオ放送(FM)を停止した。ドイツ語放送局SRF,フランス語放送局RTS, イタリア語放送局TSIのすべての放送が対象で、ラジオ放送はデジタルのDAB+が主力となる。政府の決定はコストが主な理由で、全国をカバーするためにはFM放送では850のアンテナが必要だが、DAB+ではそれが260で十分だという。Bakom連邦通信局では、現在FMラジオを聴いているのは住民の10%で、2015年に放送が開始されたDAB+の聴取者はだんだんと増え、2023年には41%に達し、インターネットでラジオを聴いている人は39%だとされている。ただし自動車に装備されているラジオの33%はまだFMで、問題の一つだが、Bakomは今後、遠くない時期にデジタルラジオ放送が主力となると予想している。民間放送の多くは今後少なくとも1年間はFM放送を続ける方針だ。2025-01-02
SRG - DAB+ - Bakom
国民投票
昨日行われた国民投票で連邦段階では3発議が否決され1発議が承認された。承認されたのは医療費負担の全国的な標準化で、居住地によってコスト負担が異なる現状を改善しようとするものだ。否決されたのは高速道路の拡充、不動産の自己使用条件の簡易化、住居の下貸し禁止の容易化だ。すべての発議でドイツ語圏の賛成、フランス語圏の反対が鮮明だ。医療費負担発議がドイツ語圏で強く支持されたのは、医療保険会社と医療者の権限がフランス語圏に比べて強いため、住民は改革の必要を感じているためだと説明されている。高速道路拡充への反対はフランス語圏に加えてイタリア語圏やチューリヒでも多数となった。自動車交通の悪影響が強い地域であることが原因と見られる。住宅に関する二つの発議もフランス語圏とチューリヒの反対が強かった。2024-11-25
- -
ウサギ看護施設
アアルガウ州のRohrでJanina Minderが6年前に始めたウサギ保護施設Kaninchenhoehleはその38のポストは常に満員だ。スイスで飼われている家ウサギの数はむしろ減っているにも関わらず、この施設に動物を預ける人の数は増えている。多くの飼い主はウサギが屋外での運動を必要としていることを軽視するために、やがて手に負えなくなり、施設に預けることになる。施設ではボランティアが働いており、必要経費は多くは個人の寄付によって賄われているが、いくつかの財団も援助している。しかし、月に1000から2000フランかかる餌や施設の保全のためにはそれだけでは足りなく、獣医従業者として働いているMinderも個人的に費用を補填している。預けられる動物は多くはひどい状態で、その治癒のために多くの人手が必要だ。12人のボランティアが力を尽くしているが、時にはMinderは夜通し看病しなければならない。2024-10-31
Rohr - Kaninchenhoehle -
遅れる軍のIT整備
IT整備でトラブルが続いているスイス軍VBSだが、今度は輸送部門でのIT導入で困難が伝えられている。国会は2020年に2億4千万フランの予算をその整備に許可しているが、SAPのリソース計画ソフトウェアERP Systeme V/arの導入を中断すると国会の報告書で発表された。8段階で実施される計画だが、第7段階で中断される。兵士の動員、食料、戦闘機配備などの管理にあたるITシステムだが、特に輸送部門の管理は困難が予想され、軍が期待されるように機能するのは2035年になると軍総司令官Thomas Süssliも認めている。2024-10-23
VBS - ERP Systeme V/ar - Thomas Süssli
金がカネを生む?
Universität St. Gallenサンクト・ガッレン大学が貴金属商Philoro Schweizの協力で行った調査で、スイス住民が保有している金の総量は200トン程度であることが分かった。これは現在の価格では150億フランの価値がある。平均所有量は100gで、現在の価格では7500フランに値する。最近2年間で金価格は大幅に上昇したが、最近6か月の上昇率は高く、40%値上がりした。世界市場での現時点での価格は1オンス(28.35g)2700USドルで、Bank of Americaのアナリストは間もなく3000ドルを超すと見ている。スイス住民の所有財産は価格では不動産が最も多く、銀行口座などがそれに続く。金は第4位となっているが、最近の価格上昇で順位を上げた。2年前にはインフレーション予防対策として金を保有する人が多かったが、現在は利益を得るために金を買う人が増えている。調査対象者の39%は金を銀行に預けているが、18%が自宅の金庫に、9%が貴金属商に保管を依頼している。しかし、15%の人は自宅にそのまま保管し、5%は庭に埋めている。Philoro Schweiz社長のChristian Brennerはその額に驚きを見せるが、保管料の高さと、銀行に対する不信が原因だと分析する。2024-10-23
Universität St. Gallen - Philoro Schweiz - Bank of America
中国人の刃物事件
10月2日にチューリヒで23才の中国人学生が3人の5才児に刃物で襲い掛かり、一人が重傷を負った。治療を受けていた児童は生命の危機を脱したと発表されているが、社会に与えたショックは大きい。英国やドイツでも同様の事件が起こっているが、中国でも近年、同様の事件が頻発していることが報道されている。最近も日本人児童が襲われて死亡し、6月にも52才の男が深圳の日本人学校の前で親子を刃物で襲い、二人を守ろうとした中国人女性車掌が刺されて死亡したという事件が起こっている。この月曜日には上海のスーパーマーケットで3人のUSA市民が殺され、6月には北東部でUSA市民が襲われて負傷している。2023年には広東省で幼稚園を襲った男たちが幼児3人を含む6人を殺害する事件が起こっている。今年はこのような事件が多くなっているが、これまでも傷害事件の頻発の波が何度か起こっている。2010年以来、37件の同様の事件が起こっており、被害者は子供であることが多い。最近の10年では17件の事件が起こっており、2010年から2012年にかけては学校を襲う事件が頻発した。そのため、登下校時には学校を、時には戦闘服を着た警官が警備するようになっている。また、スーパーマーケットで刃物を買うためにはIDやパスポートを登録しなければならなくなっている。また、このような事件の報道記事やSNSの書き込みは中国では迅速に消去されるが、チューリヒの事件の容疑者についても中国系のメディアからは消去されている。2024-10-04
チューリヒ - 深圳日本人学校 - 刃物
波乱なし、国民投票
昨日22日に行われた国民投票で連邦レベルの2発議は予想通りはっきりと否決された。市民政党が推す職業年金改革案と環境運動団体が提起した生物多様性発議がそれで、年金制度を変えようとする試みは3度続けて拒否され、生物多様性の発議は内容があまりに厳しすぎるのが否決の理由だとされている。業年金改革案は反対67.1%で、全ての州で否決され、生物多様性発議は反対63%で、ジュネーヴとバーゼル市州だけが賛成が上回った州だった。一方、地方では小都市MoutierがBern州からJura州に移ることがやっと決まった。前回の住民投票でも賛成が上回ったが、投票用紙の不備のため無効とされた。2024-09-23
職業年金改革 - 生物多様性 - Moutier
WorldSkills
9月10日から15日までフランスのLyonで開かれていた、ほぼ隔年開かれ、今年が47回目となる非アカデミック職業の技能コンテストWorldSkillsには70の国や地域の1400人の若者が参加して技術を競った。建具職からサイバーセキュリティまで52種目で好成績を収めるには個人の能力だけではなくチームワークも重要な要素とされる。59人が参加して、36の金メダルを獲得した中国が最高の成績を収め、二位には金メダル10の韓国が入った。日本は金メダル5個でヨーロッパの国で最高位のスイスに次ぐ4位だった。5位には台湾が入り、極東が強さを見せた。39人が挑戦したスイスは合計14のメダルを獲得したが、Heavy Truck Maintenanceで金メダルのSophie Schumacher、Car Paintingで銀メダルのLara Kaufmannの二人の女性が目を引く。なお、2028年のWorldSkillsは日本の愛知で開かれることが決まった。2024-09-17
WorldSkills - Sophie Schumacher - Lara Kaufmann
突然、夏の終り
つい数日前まで夏の天気が続いていたスイスが突然、寒さに襲われている。ベルン・オーバランドのGrimselからWallis/Valais州にかけて雪嵐となり、車の通行が不可能になった。木曜日の夜から今朝にかけて30㎝の積雪があったが、夏でも降雪のために通行止めとなるアルプスの峠でも、これほどの激しい雪は珍しい。他の地方でも標高1500mまで降雪高度が下がり、標高1800mのArosaなどでは道路が雪に覆われ、最高気温は0度だったが、これは平年よりも12度低い。これから土曜日にかけて降雪高度は1100m程度まで下がる予想で、寒さはしばらく続き、アルプスの北で気温が20度を超えるのは来週半ば以後となる模様だ。一方、アルプスの南、Ticinoでは北フェーンの影響もあり、明日は好天で、気温も20度を超える予報だ。2024-09-13
Grimsel - Arosa - Ticino
Gotthardトンネル再開
2023年8月10日に貨物列車の車両破損が原因の脱線事故により大きく損傷したGotthard鉄道トンネルが一年余りの工事を終え、全面的に再開した。SBBスイス連邦鉄道は通常の運行を開始した。工事中は事実上、全ての旅客列車はアルプス超えの旧路線を通じて運行されていたが、トンネルの再開で運行時間は1時間前後、短縮される。Ticino州の観光機関Ticino TurismoのAngelo Trottaはこの間の損失は少なくとも1千万フランに上ると語った。ドイツ語圏からの観光客は15%以上、減ったという。正常ダイヤではLugano‐Zürich間は1時間50分、Lugano‐Luzern間は1時間45分で結ばれる。この路線を使って通勤している人は延べ16400人と見積もられている。30分タクトの運行も再開され、以前は35000だった座席数が40000席に増える。運行時間が最も短縮されるのはUri州の首都AltdorfとTicino州の首都Bellinzonaの間の路線で、山越え路線では1時間30分だったが、これが30分足らずになる。SBBではこの運行不能期間のコストは1億5千万フランになると試算している。大多数の事例については保険がかけられているが、その支払いについての法的手続きはまだ、長く続くと見られる。2024-09-02
Gotthard鉄道トンネル - Ticino Turismo - SBB
年金アップデート
AHV/IV国民基礎年金/障碍者年金の最低月額が2025年、35フラン引き上げられ、1260フランとなる。最高額は70 フラン上がり2520フランとなる。払い込みも年514から530フランに引き上げられる。任意払い込みは980から1010フランに上がる。これに伴う国家からの支出はほぼ17憶フラン増える。子供手当は月額、200から215フランに増えるが、手当支給を実施しているのは7の州だけで、これらの州では自動的に支給額が引き上げられる。学業手当は250から268フランに引き上げられるが、自動的に適用されるのは6の州だけだ。家族手当が引き上げられるのは2009年の家族手当法改正以来初めてだ。職業年金の税控除は25725から26460フランに引き上げられ、払い込み義務が生じる年収は22050から22680フランに引き上げられる。最低年収を下回る場合、払い込は免除されるが、年金は国民基礎年金だけとなる。年金の第三の柱、任意積立の免税額は年間7056フランから7258フランに引き上げられる。自営業者など職業年金を持たない人の場合は任意積立の免税額は35280フランから36288フランにあげられる。生活援助金は一人家計の場合、20100から20670フランに、夫婦家計では30150から31005フランに、11才以上の子供の場合は10815フラン、11才以下の場合は7590フランに引き上げられる。都市圏の家賃高騰に伴う援助金は18900フラン、都市では18300フラン、地方では16680フランとなる。暖房費や住宅管理費の援助金は3060から3480フランに引き上げられる。免税最高金額は一人家計で1000から1300フランに、夫婦家計と子供のいる家計ではでは1500フランから1950フランに引き上げられる。2024-08-31
AHV/IV - 職業年金 - 任意積立
卵のうちに雌雄判別
2027年から鶏の雄雛を殺処分することが禁止されることを受けて、卵の状態で雄雌を判別する装置が導入される。現在、雄のヒヨコは孵化した直後に判別され、CO₂により殺され、有機ガスや飼料の原料とされている。これを痛みを感じないとされる産卵後11から12日目までに処分することにで動物虐待を避けるとされる。業界団体Gallosuisseでは2025年初に大手事業所での導入が始まり、年内には計画を完了するとしている。2020年に雄のヒヨコを機械的に細断することが禁止されて以来、CO₂による殺処分が行われてきたが、これで業界の倫理的立場を明らかにすると業界団体は表明している。この決定は鶏卵業界だけではなく、全ての付加価値流通網の関係者が協力して探って来たことの結果だとされる。2024-08-31
Gallosuisse - 雄雛殺処分 - 付加価値流通網
脱脱原発
福島第一原子力発電所の事故の印象の中で決められたスイスの脱原発だが、13年経った今、連邦内閣は原子力発電の開発を再び可能にする方針を閣議で決定した。この案は議会で承認される必要があるが、各方面で賛否両論が戦わされている。電力企業各社ではしかし、建設に最低でも20年かかり、事故が起こった場合の経済的負担を企業自体が耐えられないという事実があり、原子力発電所の新設には慎重だ。ただ、原子力発電禁止の枠が外されることは大きな影響を持つとスイス電力企業団体のClaudia Egliは話し、選択肢が増えることは将来にとって重要だと語った。電力企業大手AxpoのMartin Stuckiは、今必要とされているのは短期間で電力供給を増やすことで、原子力発電の開発は時間がかかりすぎると話し、原子力発電所を新設できるのは国家が直接、自らの手で建設できる場合だけだとの考えを示した。反原子力のエネルギー財団のNils Epprechtはこの内閣の決定に怒りを示し、核エネルギーは誰も必要としていないと批判する。また、原子力発電の開発には国家からの巨額の助成が必要で、それによって新エネルギーの開発に向けられる財源が削がれることも問題だと話す。連邦内閣の提案は今後、公聴会にかけられるが、最終的には国民投票での決定が必要になると見られる。2024-08-31
脱原発 - 連邦内閣 - Nils Epprecht
アルプス農家
Jonas KochとLinda Zaiserはこの夏、初めてアルプスで過ごす。観光ではなくアルプス農家の従事者としてだ。彼らはドイツの大学Universität Kasselで農業環境学を専攻している。すなわち、アルプスでの農業経験は彼らの研究と結びついている。それだけではなく、Kochはこの短期間の規則的な生活が気に入っている。彼のパートナーは自立した活動と、チーズの製造過程を始めから終わりまで経験できることに意味を見出している。二人はアルプス農業マッチングプラットフォームzalp.chを通じてアルプス農業マスターDario Zinsliと3か月間の契約を結んだ。彼らのチームのリーダーは初めて求職広告を出して採用されたKevin Skarplikはアルプス農業プロジェクトの責任者になったことを喜ぶが、アルプス農牧場に妻と二人の子供を連れて行けるという実用的な理由もあった。更に、給与も魅力的で、オーストリアと比べて2倍近くだという。約6700ある、アルプス農場では夏の間、17000人ほどが働くが、そのうち2200人程は外国から来る人たちで、多くはドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、ポーランド、スロヴェニアからだ。アルプス経済組合の運営者Selina Drozは人集めが大変だと話し、Zinsliは多くの人には忍耐力が欠けていると付け加える。一般的に女性のほうが信頼性があるという。またロマンティックな想像で応募する人も少なくないが、アルプスでは四六時中、動物の世話をしなければならず、狼の脅威もあるという現実が忘れられることが多いという。Zinsliは人を集めることの切り札は何といっても給与だとするが、他にも重要な要素があると言う。それは、農場経営の質と社会保障の充実だ。これらの点の改善を計るための計画Motiviertes und treues Alppersonal - Rahmenbedingungen für den Arbeitsort Alpで、一回限りではなく多数年にわたってアルプス農業に就く人を見出す試みが行われている。計画は農業森林食料専門大学Hafl,スイスアルプス経済組合SAVと連邦農業局 BLWの協力で行われており、とりあえず2025年7月まで続けられることになっている。計画の分析結果によっては更に1年延長されることもあるとされる。2024-08-29
zalp.ch - SAV - Motiviertes und treues Alppersonal - Rahmenbedingungen für den Arbeitsort Alp
コロナ裁判
連邦裁判所は2022年に起こされたコロナ危機に際しての連邦の措置は違法であるという告訴を退ける判断を発表した。訴えはコロナ危機に際して2022年までに連邦政府が行った措置は法的な根拠がなく、ウイルスの危険性を明らかにする根拠も示されておらず、基本的人権を侵すものだとして、1万人ほどの原告に象徴的な一人当たり1フランの補償金を払うことを求めるものだ。Lausanneの連邦裁判所で行われた裁判で判事はこの訴えを却下すると口頭で伝えた。判決文は後に発表するとしている。2024-08-29
連邦裁判所 - コロナ危機 - 連邦政府
減る年金
10年後に年金年齢を迎える現在55才の人の年金は2002年から2024年の間に20%減った。チューリヒの財産センターVermögenszentrums VZが算出した数字で、実数では年間平均15000フランの減少となる。国民基礎年金AHV/AVSは物価上昇率に合わせて同期間に19%増えたが、第二の柱、職業年金は39%の大幅な減少となった。職業年金金庫は利率を引き下げ、義務を上回る転換率を平均余命の上昇に合わせて引き下げた。2002年には職業年金が基礎年金の2倍の払い出し額となっていたが、現在はほぼ同額となっている。実態はもっと悪く、10年後に実際に払い出される金額は2002年には75000フランと見積もられていたが、現在の計算では70000フランとなっている。VZでは状況はさらに悪化すると見ており、その理由を最低利率がこの数年で4から1.25%まで下がったことだとしている。この利率は最低義務利率で、多くの年金金庫が行ってきた義務を超える利率の適用は大きく減る。年金の保証額は50年前に政治的に定められたもので、最後の給与の60%を下回らないというものだが、これを守る年金金庫は減り続けている。20年前には年金手取り額は平均で最後の給与の62%となっていたが、現在では52%で、目標を大きく下回っている。高額所得者では減り方がもっと大きく、年収150000フランの場合、2002年にはまだ58%だったが、現在は43%まで下がっている。基礎年金が3分の2を占める低所得者ではこの影響は小さい。2024-08-20
Vermögenszentrums VZ - AHV/AVS - 職業年金
ジュネーヴ条約75年
昨日、2024年8月12日、戦争下でも人道精神が守られることを誓う1949年の第4ジュネーヴ条約が締結から75年となった。あらゆるところでこの条約が破られている現状から、意味のないものだという批判が出されているが、国際赤十字の総裁Mirjana Spoljaricは記念式典で、各国に政治的な優先性を見直し、国際人権法を世界平和への一つの道とすることを求めた。更に、近東戦争の当事国に和平のためにより多くの努力をすることを求め、スーダンに和平交渉に留まることを求めた。条約が守られないことは問題だとしながらも、民間市民の保護のためにはこの条約が最も強いツールだと強調した。ジュネーヴ条約が初めて合意されたのは1864年8月22日のことで、これも今年が150年の記念の年となる。当時、調印したのは12か国だったが、現在の加盟国は195となっている。最初の条約の重点は戦争時に負傷兵を殺処分することを禁じることだったが、ナチスドイツの全面戦争を受けて1949年に改正条約が締結され、さらに1977年にはあらゆる兵器を使う戦争から民間人を守ることが謳われた。2024-08-13
ジュネーヴ条約 - 国際赤十字 - Mirjana Spoljaric
Street Parade
先週末、8月10日、チューリヒで恒例のStreet Paradeが行われ、去年と同じ程度の92万人が世界最大のテクノの祭典に集まった。28台のLove Mobilesが湖を囲む沿道に設えられ、今年のモット―Prefer:Toleranceに合わせるように7の舞台でのパフォーマンスに合わせて人々は自由に踊った。覚醒剤法違反や窃盗で29人が逮捕され、橋Quaibrückeの近くで泳いでいた人々が排除され、交通法違反のボートは退去を命じられた。救急救命チューリヒのメンバー520人は729人を手当てしたが、そのうち4人は重傷を負っていた。祭典の広報担当者Stephan Epliは好天に恵まれたこともあり、多くの人々がチューリヒに集まり、人生を謳歌したことに大いに満足していると語った。公式の飲食品販売所では2023年以来、PETボトルとアルミ缶には預り金がかけられ、返すと返金される仕組みが取り入れられ、ゴミの減量に努めている。また、負傷の危険性があるため、ガラス瓶は禁止されており、訪問者にも持ち込まないように検査が行われた。Raveと呼ばれる参加者たち、組織者共に全体としては平穏理に行われたとして、成功だったと表明している。2024-08-12
Street Parade - Love Mobiles - Quaibrücke
国民の祝日
今日8月1日はスイスの国民の祝日で多くのところでは花火で祝われるが、Baselでは昨日の夜、ライン河岸で既に花火が打ち上げられた。Basel市州警察の発表によると、9000人が集まり、公的私的な花火の夕べを楽しんだ。警察は目に見える形でパトロールしたが、それでも規則に従わない人がおり、人込みに向けて花火を打ち上げたり、殴り合いにをするなどの事例があり、警察が介入したが、一人の女性が警官に暴力をふるおうとして身柄を捕獲された一件を除いては概ね問題なく平穏だった。消防も出動は1件だけで、燃えるコンテナーを消火した。救急出動は7件で、その大部分はアルコールの過剰摂取による意識障害だった。民間救護団体は12人の軽い怪我をした人を手当てした。今日の本番では連邦大臣7人が延べ13の演説や挨拶を行うことになっている。280ほどの農家はブランチを提供し、10万人程が祝祭行事に参加する。前日に辞任のうわさが流れた連邦大統領Viola Amherdはそのスピーチでスイスの価値の擁護を訴えた。伝説のスイス建国の英雄Wilhelm Tellの町Altdorfでは多くの若者が彼が息子の頭に載せたリンゴを矢で打ち抜いた人という知識しかない状況を踏まえて、12か所に説明版が設置されたテルの道のお披露目が行われた。2024-08-01
Basel - Viola Amherd - Altdorf
楽天トラベルEUROPE ヨーロッパ
楽天トラベル 海外航空券予約